AI用途のPCは、ゲーム用PCとは選ぶ基準が変わります。基準の中心になるのはGPUのメモリ容量(VRAM)で、「何を・どのモデルで動かすか」によって必要量が決まります。このガイドは、各GPUの公式仕様を基礎に、別記事で公開している実機検証の結果も参考にして、用途と予算から構成を引けるよう全体像をまとめたものです。実測の条件と数値は検証環境ページや各検証記事で確認できます。個別の比較や手順は各記事に譲り、ここでは「何を基準に、どう選ぶか」を整理します。
軽量LLM・SDXL
7〜14B・画像・軽量動画・LoRA
大型LLM・高品質動画
大型を分割
選び方の結論:用途と予算が決まれば候補はかなり絞れる
順番はシンプルです。
- 最も重要なのはVRAM。モデルがVRAMに収まれば高速に動きます。収まらない場合は、実装によってシステムRAM/CPUへの退避(オフロード)・低VRAM設定・API利用・エラーのいずれかに分かれ、RAMへ逃がせる場合も大きく遅くなります。使うツールごとの対応を確認します。
- 用途で必要VRAMが決まる。チャットやコーディングか、画像か、動画か、学習かで目安が変わります。
- 残りを予算で配分。GPUを軸に、メモリ・ストレージ・電源を用途に合わせて足し、CPU・マザーボード・冷却は組みたい構成と稼働時間から決めます。
この3段で、迷う範囲はかなり狭くなります。以下、用途→GPU→周辺→予算別構成の順に見ていきます。
まず用途を決める(必要VRAM・メモリの早見)
用途ごとの目安です。いずれも「これ以上あれば余裕」という下限〜推奨の幅で示します。LLMは標準的な量子化・短〜中程度のコンテキストを前提とし、量子化方式(Q4/Q5/Q8など)やコンテキスト長で必要量は変わります。
| 用途 | 目安VRAM | システムRAM | ひとこと |
|---|---|---|---|
| ローカルLLM(チャット・コーディング) | 12〜16GB | 32〜64GB | 7〜8B級は12GBでも。7〜14B級は16GBが中心。27B超は16GBだと不足しがち |
| 画像生成(SDXL・Flux系) | 12〜16GB | 32GB〜 | SDXLは12GBでも動作。Flux系はモデル・精度・量子化・解像度で必要量が大きく変わり、16GBは軽量設定やFP8/量子化・オフロードを前提とした目安です |
| 動画生成 | 16GB〜(モデルにより32GB級〜) | 64GB〜 | 動画はバージョン・ワークフロー差が大きく、軽量・量子化のワークフローは16GB前後で試せるものもあれば、現行の高品質モデルは32GB級以上を要するものもあります。対象の公式要件を確認してください |
| LoRA・ファインチューニング | 8GB〜(対象により16〜24GB+) | 32GB〜 | 小型LLMや低解像度なら8GB級から試せる場合がありますが、SDXL・動画・大規模モデルでは16〜24GB以上、モデルによってはさらに必要です |
※目安として、Q4量子化ではおおむね14B級で約9GB前後、30B級で約18〜20GB、70B級で40GB超になります(実行時はKVキャッシュ等も加わるため、モデル本体サイズだけで判断しないでください)。
用途別 必要スペック早見/VRAM 16GBでどこまでできるか(完全ガイド)/AIコーディング用ローカルLLMの必要スペック/LoRA・ファインチューニングは手元のGPUでできるか
GPUの選び方と現行モデル
AI用途では、ゲームのfpsよりVRAM容量を先に見ます。容量が足りないと、速いGPUでも大きいモデルは動かせないか、あふれて極端に遅くなるためです。次にメモリ帯域や演算性能で速度が決まります。実用上の基準は16GBで、ここを境に「動かせるモデルの幅」が変わります。
NVIDIA RTX 50:RTX 5090=32GB/RTX 5080=16GB/RTX 5070 Ti=16GB/RTX 5070=12GB/RTX 5060 Ti=16GB(8GB版あり)/RTX 5060=8GB
AMD RX 9000(RDNA 4・GDDR6):RX 9070 XT=16GB/RX 9070=16GB/RX 9060 XT=16GB(8GB版あり)
AI用途での現実的な狙いどころは次の通りです。
- まず16GBを確保:RTX 5060 Ti 16GB(コスト重視)/RTX 5070 Ti・RTX 5080(速度重視)。多くの用途で扱いやすい基準です。
- 12GBクラス(RTX 5070)は用途を選ぶ:7〜8B級のLLMやSDXLなど、12GBに収まるワークフローが主な対象です(快適さは解像度・バッチ・拡張・実装で変わります)。16GBを前提とする大きめのモデルは収まりません。ゲーム性能ではRTX 5070が上位でも、AI用途ではVRAMの差が大きいため、販売価格がRTX 5070より低い場合は、16GBのRTX 5060 Tiの方が動かせるモデルの幅が広い場面があります。12GBで止まる場所は、contextの上限と動画のフレーム数を実測した記事にまとめています。
- 8GBクラス(RTX 5060等)は軽い用途向け:小型LLMや軽い画像生成に限られます。
- 大型モデルを単体で:VRAM 32GBのRTX 5090。30B前後までの量子化LLMや、32GB内に収まるコンテキスト長・設定のモデル、動画の軽量/量子化ワークフローを1枚で扱いたい場合の選択肢です。70B級などは量子化後でも32GBを超える例があるため、対象モデルの実サイズとKVキャッシュを確認してください。動画は要件差が大きく、公式要件が32GBを超えるモデルはクラウドやプロ向けGPUが前提になります。
同じ16GBでも世代・帯域で速度は変わります。具体的な比較は各記事へ。
RTX 5060 Ti 16GBでどこまでできるか/RTX 4070 Super vs RTX 5060 Ti 16GB/RX 9070 vs RTX 5070/コア数が多いほど速いとは限らない理由(演算精度とメモリ帯域)
ローカルLLMで選ぶなら:VRAMの段ごとに載る範囲と速さ(24GB・32GBの1枚は公称値だけ)
ローカルLLMに絞ると、まず見るのは「使いたいモデルが1枚に全部載るか」です。載らないときにどこまで遅くなるかは、測った範囲ではモデルの作り(MoEかDenseか)で大きく分かれました。12GB・16GB・16GBの2枚は、当サイトでOllama 0.32.3・Q4_K_M・文脈8,192にそろえて測った生成速度です。24GBと32GBの1枚は測っておらず、公称値で並べます。
| VRAM(カード) | 9〜14B級(5本) | 26〜35B級のMoE(4本) | 27〜32B級のDense(3本) |
|---|---|---|---|
| 12GB(RTX 4070 Super・実測) | ほぼ全部載る(phi4:14bだけ常駐95%)。41.8〜72.2 tok/s | あふれる(常駐41〜53%)。40.9〜45.9 tok/s | あふれる(常駐42〜54%)。3.9〜5.0 tok/s |
| 16GB(RTX 5060 Ti・実測) | 全部載る。43.4〜64.6 tok/s | あふれる(常駐59〜75%)。49.9〜67.3 tok/s | このカードでは測っていない |
| 16GB(RTX 5080・実測) | 全部載る。80.2〜118.0 tok/s | あふれる(常駐58〜74%)。55.5〜80.6 tok/s | あふれる(常駐61〜78%)。7.4〜12.8 tok/s※ |
| 24GB(中古RTX 3090・RX 7900 XTX/公称値) | 当サイトでは測っていない。公称のメモリ帯域はRTX 3090が936GB/s、RX 7900 XTXが約960GB/s。消費電力はRTX 3090が350W、RX 7900 XTXが355W(TBP)。RX 7900 XTXはCUDAに対応しない | ||
| 合計32GB(RTX 5080+RTX 5060 Tiの2枚・実測) | 1枚に収まるので、Ollamaの既定では2枚に分けず片方のカードだけで動く。どちらに載るかは自動で決まり、当サイトの環境では遅いRTX 5060 Ti側に載った(Ollamaの版と文脈長をこの表とそろえていない別の記事で確認) | 全部載る。129.3〜157.8 tok/s※(2本) | 全部載る。25.7〜30.1 tok/s※ |
| 32GB(RTX 5090/公称値) | 当サイトでは測っていない。公称のメモリ帯域は1,792GB/s、消費電力(Total Graphics Power)は575W。1枚なので、2枚の構成のようなカード間の転送は無い | ||
RTX 4070 SuperとRTX 5060 Tiは、同じ外付けドックにカードを差し替えて測った値で、画面出力は受け持っていません。RTX 5080は画面出力も受け持つ内蔵の1枚で、2枚の構成とあわせて接続も違います。画面も出すカードは、そのぶん空きが減ります。※印は、同じ版・量子化・文脈長で測った別の記事の値で、計測日が違います(どの値も2026年8〜9月の計測)。同じモデル・同じカードでも回によって値が動くので(qwen3-coder:30bのRTX 5080 1枚は、※の付かない値が80.6 tok/s、※の記事では72.5 tok/s)、※の付いた値と付かない値を割り算して倍率を出すのは避けてください。※の記事で測った27〜35B級の5本(1枚ではあふれるモデル)では、2枚にした速さは1枚の約2.2〜3.5倍でした。容量だけでなく2枚目の演算や帯域も同時に変わった結果で、1枚に収まる9〜14B級は2枚にしても速くなりません。同じVRAMの段でも、速さはカードの型番で変わります。
- 9〜14B級は、文脈8,192なら12GBにもほぼ載る:5本のうち4本は12GBのRTX 4070 Superで常駐100%、phi4:14bだけ95%でした。この12GBのカードは画面出力を受け持たない外付けドックで測っています。qwen3:14bが常駐100%のまま取れた文脈は、2,048刻みで探してRTX 4070 Superで8,192が上限でした(RTX 5060 Tiでは34,816。KVキャッシュf16)。1枚でPCの画面も出す12GBのカードでは、8,192でも載りきらないことがありえます(この構成は測っていません)。
- 文脈を伸ばせる幅はモデルで分かれる:用途の早見表やRTX 5070の項では、12GBを7〜8B級向けとしています。ここで測ったのは9B以上で、7〜8B級とRTX 5070は測っていません。12GBのRTX 4070 Superでも、gemma4:12bは131,072(探索の上限)、qwen3.5:9bは126,976まで常駐100%のままでした。qwen3:14bのように、14B級に長い資料やコードを読ませるなら16GBが安心です。
- 26〜35B級は、測った7本ではMoEかDenseかで分かれた:MoEの4本は1枚からあふれても40.9〜80.6 tok/sが出ました。Denseの3本はあふれると、RTX 4070 Superで3.9〜5.0 tok/s、RTX 5080でも7.4〜12.8 tok/sまで落ちます。16GBの2枚で合計32GBにした構成では、27〜32B級のDenseも3本とも全部載り、25.7〜30.1 tok/sでした。
- 24GBと32GBの1枚は、容量の数字の上で見る:※の記事で測った5本(Denseの3本と、MoEのqwen3-coder:30b・qwen3.6:35b-a3b)がOllamaの報告で必要とした量は16.3〜21.9GiB(Q4_K_M・文脈8,192)で、数字の上では24GBにも32GBにも収まります。表のMoEのうちgemma4:26bとqwen3.5:35b-a3bは必要な量を測っておらず、qwen3.5:35b-a3bは配布ファイルだけで約24GBあるので、24GBの1枚では余裕がありません。画面出力に使うカードは空きが総容量より小さくなり、RX 7900 XTXはROCmかVulkanで動かすので必要な量も同じとは限りません。24GB・32GBの1枚で全部載るか、どれだけ速いかは確かめていません。公称の帯域は速さそのものではありません。モデルが1枚に全部載っているときの生成の速さを左右する数字の一つで、表の実測のうち1枚からあふれている26〜35B級とは、帯域の比で比べられません。
- 2枚にするか、大きい1枚にするか:16GBの1枚で足りるか2枚にするかは、2枚のGPUのVRAMプールで動かす記事の冒頭に、2枚目を足すか24GB・32GBの1枚に替えるかは、AI用途にGPUは2枚必要かの記事の「予算別の現実的な選び方」にまとめています。
12GB:RTX 3060 12GBで始めるローカルAI/12GBと16GBを同じ条件で比べた実測 16GB:VRAM 16GBで動かすローカルLLMの早見表/VRAM 16GB GPUを選ぶなら 24GB:中古RTX 3090 24GBは買いか/RX 7900 XTX 24GBは実用になるか 32GB:VRAM 32GBで何が変わるか
GPUの型番まで決めるならここで挙げた条件(VRAM・予算)のまま、グラフィックボード264枚を絞り込めます。ケースの対応カード長と電源容量からも探せます。
メモリ・ストレージ・電源の選び方
メモリ(RAM)
最低32GB、余裕を見るなら64〜96GBです。AIでRAMが要る場面ははっきりしています。VRAMに収まらないモデルをRAMへ退避(オフロード)して動かすとき、そして画像のアップスケールのようにRAMを大量に使う処理のときです。DDR5では容量を優先しつつ、クロックとレイテンシのバランスも見ます。
AI用PCのメモリ(RAM)選び方ガイド/DDR5はクロックとレイテンシのどちらを優先すべきか/DDR5の買い時・必要容量/システムRAMは何GB必要か(96GB実機で実測)
ストレージ(SSD)
NVMe SSDの1〜2TBが目安です。ローカルモデルのファイルは大きく、複数を試すとすぐに容量を使います。
AI用PCのSSD選び方ガイド/SSD・メモリ・VRAMの役割分担
電源(PSU)
GPUの消費電力を基準に、システム全体で余裕を持たせます(例:RTX 5080はTGP 360Wですが、NVIDIAはFounders Edition基準で必要システム電源を850Wとしています。実際の必要容量はCPUや構成・AIBモデルで変わります)。GPUを2枚運用する場合は、PCIeスロットや補助電源ケーブル・PSU容量を確認します。外付けGPUでは、Oculink等はデータ接続のため、ドック側に別途電源(ATX/SFXなど)と補助電源の確保が必要です。推論中のGPU実消費はTGP(RTX 5080なら360W)を下回ることもありますが、容量はピークと構成差を見込んで推奨システム電力側で取ります。
AI用PCの電源(PSU)選び方/ローカルLLM推論中のGPU電力を実測(1枚/2枚)/デュアルGPUでローカルAIはどう変わるか/MINISFORUM DEG1 Oculink eGPUドック 実機レビュー
CPU・マザーボード・冷却の選び方
この3点は、モデルがVRAMに収まっている限り生成速度を大きく変える部分ではありません(あふれた分をCPU・RAM側で処理する構成では、そこで差が出ます)。決めるのは、組める構成と、長時間まわしたときの安定性です。
- CPU:計算の本体はGPU側で走るため、予算はGPUを優先します。CPUが体感に影響するのは、モデルの読み込みや画像生成の前処理、そしてVRAMからあふれた分をCPU側で処理するときです。
- マザーボード・PCIeレーン:GPU1枚なら問題になる場面は多くありません。2枚目やOCuLink接続のeGPUを足す段階で、M.2 SSDとのレーンの取り合いが起きます。まず見るのは、そのスロットにレーンが割り当てられるか(x16がx4に落ちないか、M.2スロットが無効化されないか)です。必要な帯域は分け方によって変わるため、リンク幅が落ちる構成では分割方式もあわせて確認します。
- 冷却・ケース:24時間まわす前提なら、冷却を強化するより先に電力制限で発熱そのものを下げるほうが確実です。ケースは、狙ったGPUが物理的に入るか(対応カード長)を先に確認します。
AI用PCでCPUはどこまで重要か/マザーボードとPCIeレーンの選び方/冷却とケースの選び方
予算別のおすすめ構成
用途と狙うモデル規模で、構成は次のように整理できます。価格は変動するため、ここでは「何ができるか」を中心に示します(最新価格は各販売ページで)。
VRAM 16GBの中で価格帯を比べるなら:ローカルLLM用PCのおすすめスペック(3つの価格帯を構成と速さで比較)
エントリー:まず動かしてみる
- GPU:RTX 5070 12GB または RTX 5060 Ti 16GB/メモリ:32GB/SSD:1TB
- RTX 5070(12GB)は7〜8B級のLLMやSDXLなどの軽い画像生成向け。RTX 5060 Ti(16GB)なら7〜14B級のLLM、画像生成、LTX系の軽量・量子化ワークフローのような動画モデルまで一通り試せます(現行の高品質な動画モデルは別途VRAM要件の確認が必要)。AI主目的なら16GBが安心です。
中古のRTX 3060 12GBで始める場合(12GBで足りる範囲と、物足りなくなる境界)/GPUを買う前に、手元のCPUだけでどこまで動くか
ミドル:速度と余裕を取る
- GPU:RTX 5080(またはRTX 5070 Ti)/メモリ:64GB/SSD:2TB
- できること:エントリーの範囲を快適にこなしつつ、やや大きめのモデルや長めのコンテキストにも手が届きます。
ハイ:大型LLM・一部の動画生成・並列運用まで
- GPU:VRAM 32GBのRTX 5090(32GBに収まる大型LLMや、32GB級で動く動画モデルを1枚で)、またはRTX 5080+2枚目(llama.cpp・vLLMなど分割対応LLMで、2枚の有効VRAMに収まる30B前後〜一部の大型量子化モデルを分割する用途。70B級は2枚16GBでも不足する場合あり)/メモリ:96GB/SSD:2TB+
- できること:30B前後までの大型量子化LLMや、16GBでは収まりにくい一部の動画・画像ワークフローが射程に入ります(70B級は2枚16GBや32GBでも収まらない場合があり、対象モデルの実サイズで確認)。動画は要件差が大きく、32GBを超える公式要件のモデルはクラウド/プロ向けGPUが前提です。ただし2枚運用が有効なのは主に、llama.cpp・vLLMなどマルチGPU分割に対応したLLM実装で大型LLMを分割する場面です。画像・動画生成や未対応ツールでは2枚目を使えないことが多く、その用途では1枚あたりのVRAMが大きいRTX 5090が向きます(詳しくはFAQ)。
デスクトップ・ノート・ミニPCの選び方
- デスクトップ:VRAM・電源・拡張性で最も有利。AIを本格的に使うなら基本はこちらです。
- ノート:可搬性が利点。Laptop版GPUは同名でも電力枠が低く、VRAMも型番ごとにデスクトップ版と異なるため、搭載GPUのVRAMとTGPを個別に確認します。
- ミニPC・NPU搭載機:省スペース。専用GPUのない機種は、NPU対応ランタイム・内蔵GPUの共有メモリ量・メモリ帯域で限界が決まりやすく、大型モデルには向き不向きがあります。軽い用途や常時稼働では選択肢になります。また、大容量の統合メモリを積む小型機(DGX Spark系)もあります。16GBに収まるモデルでは16GBのGPUの方が速く、統合メモリの容量が意味を持つのは、GPUを2枚にしても有効VRAMに載せきれないサイズを扱う場合です。
AI用ノートPCの選び方【2026年最新】/Surface Copilot+ PCとAI用デスクトップの選び方/AIミニPCワークステーションとは/NVIDIA DGX Sparkは買いか(統合メモリ128GB)/ローカルLLM向け大容量メモリ機の選び方(128GB級を公表メモリ帯域で比べる)
用途別おすすめ候補の早見
次の表は、本記事の前提(標準的な量子化・短〜中程度のコンテキスト・各用途のワークフロー要件の確認が前提)での候補整理です。
| 主な用途 | 入門(下限) | 本命 |
|---|---|---|
| 軽量LLM(〜8B)・お試し | RTX 5070 12GB | RTX 5060 Ti 16GB |
| チャット・コーディングLLM(7〜14B) | RTX 5060 Ti 16GB | RTX 5080 |
| 大型LLM(27B超) | RTX 5080+2枚目(分割対応LLMで2枚の有効VRAM内・30B前後まで/70B級は不足あり) | RTX 5090(32GB・収まる量子化/長さで) |
| 画像生成(SDXL/Flux系) | SDXL: RTX 5070 12GB/Flux系は軽量・量子化前提 | RTX 5080以上 |
| 動画生成 | RTX 5060 Ti 16GB(旧・軽量モデル) | RTX 5090(32GB内に収まるモデル・量子化/軽量ワークフロー向け。32GB超の公式要件はクラウド/プロ向け) |
| LoRA・学習 | RTX 5060 Ti 16GB | RTX 5090 |
候補が決まったら、売っている機種を見るここで挙げた条件(GPU・VRAM・メモリ・予算)のまま、販売中のBTOパソコンを探せます。載せているのは各社の公式サイトで実際に買える構成だけです。
よくある質問
Q. VRAM 16GBで足りますか?
本記事の前提(標準的な量子化・短〜中程度のコンテキスト)では、7〜14B級のLLMやSDXL系の画像生成は16GBで試しやすい範囲です。対象モデル・量子化・解像度・バックエンドで必要量は変わるため、個別の要件と検証記事を確認してください。動画はモデル差が大きく、LTX系のように16GB以上で動くものもあれば、13B級・学習・高解像度・長尺では32GBでも不足する場合があります。対象モデルの公式要件を確認してください。27B超のLLMや長いコンテキストは16GBでは不足しがちです。分割対応のLLM実装なら複数GPU分割やCPU/RAMへの部分退避で動く場合もありますが、ツール依存で、RAM退避は大幅に低速化しやすいため、快適さを優先するなら1枚あたりのVRAMが大きいGPUを選びます。
長文を入れるとVRAMがどれだけ増えるか(KVキャッシュ実測)/1bit・Ternaryまで落とせば27B級は16GBに載るか(精度の代償)
Q. GPUは2枚にすべきですか?
2枚で「何でもできる」わけではありません。有効なのは主に、llama.cppやvLLMなどマルチGPU分割に対応したLLM実装で、1枚に収まらない大型モデルを2枚に分けて動かす場面です。画像・動画生成はツールやワークフローごとに複数GPU利用の可否が分かれ、対応していない構成では2枚目が使われず遊ぶこともあります。VRAMも単純な足し算にはならず、速度が必ず上がるわけでもありません。まず1枚で足りるかを用途別の早見で確認し、収まらない大型モデルを扱う明確な理由があるときに検討するのが現実的です。
大型LLMを2枚に分割して動かす(OCuLink接続・分割方式で速度が変わる)/2枚目が認識されても使われないときの切り分け/16GBであふれる27〜35B級を2枚に載せると何が変わるか(5本の実測)
Q. 中古GPUはありですか?
AI用途では世代よりVRAM容量の影響が大きいため、容量を優先して選ぶなら選択肢になります。逆に、ゲームでは評価が高くてもVRAMが12GBにとどまるカード(前世代のRTX 4070 Superなど)は、AIで動かせる範囲が限られるため、中古でも積極的にはおすすめしません。保証や消費電力、ファンの劣化にも注意しましょう。ここで見送りを勧めているのは、価格が高いまま12GBにとどまるカードです。同じ12GBでも、取得価格を大きく抑えられる入門用なら費用対効果の判断は変わります。
Q. AMDではだめですか?
RX 9070 XT/9070やRX 9060 XT(16GB)はゲーム性能も高く、AI用途でもCUDA前提の拡張・手順が残るツールではNVIDIAが導入しやすい場面があります。一方で、Ollama・PyTorch(ROCm)・ComfyUIなどAMD対応が進んでいる公式経路も増えています。ただしOllamaはOSやバックエンド(Linux/WindowsのROCm、Vulkan)で対応GPUや前提が異なるなど、対応可否はOS・GPU世代・ドライバ・バックエンドで変わります。使いたいソフトのROCm/Vulkan/DirectML対応を先に確認してください。
参考資料
本ガイドの構成目安は、各GPUの公式仕様と、実機(Intel Core i7-14700F/96GB DDR5/RTX 5080+RTX 5060 Ti 各16GB/Oculink)での検証結果を踏まえたものです。測定条件(計測時期・モデル名やタグ・測定回数と集計方法・GPU実載確認・推論設定・コンテキスト長など)は検証環境および各検証記事に記載します。GPUのラインナップ・価格・在庫・各モデルの必要VRAMは更新やツールの対応状況で変わるため、最新は各公式・販売ページでご確認ください。