Qwen-Image-2.1-TurboをVRAM 16GBで動かす|8ステップでベースの25ステップより何倍速いか、ComfyUIの刻みと公式の刻みの違いも実測

Qwen-Image-2.1-Turbo 8ステップ速度テスト(比較図) AI画像生成

この記事の要点

この測定環境では、Turbo 本体は画像モデルとステップ数を替えるだけで、ベース+Turbo の LoRA はステップ数を替えて LoRA を読み込むノードを足すと、どちらの GPU でも最後まで生成できた。同じプロンプトで seed を変えて出す時間は、Turbo 本体 int8_convrot ならベースをテンプレート既定のステップ数で回したときの数分の一で済んだ (bf16 は短縮が小さい)。

測った中でいちばん速かったのは Turbo 本体 int8_convrot で、ベース+Turbo の LoRA はわずかに遅い。Turbo 本体の attention を pytorch attention に上書きすると、その差の大部分が埋まった。

ステップ数を減らしたときに ComfyUI が使う刻み (ステップごとにノイズをどこまで減らすかの並び) は配布元が Turbo 本体に保存した推奨と違い、推奨の刻みを ManualSigmas で入れると同じ seed でも別の画像になった。どちらが良いかは比べていない。ライセンスは研究・評価の目的に限られる。

VRAM 16GBで動くか、ベースの25ステップよりどれだけ速いか

メインメモリ96GB・Windows 11 の測定機では、測った組み合わせ (Turbo 本体 int8_convrot、Turbo 本体 bf16、ベース+Turbo の LoRA) はどれも RTX 5080 と RTX 5060 Ti (どちらも VRAM 16GB) で最後まで生成できた。ベース+Turbo の LoRA は 1024×1024 だけを測っている。

1024×1024 で同じプロンプトのまま seed を変えて次の1枚を出す時間は、ベースの25ステップが Turbo 本体 int8_convrot の8ステップの約3.0倍 (RTX 5080)、約3.2倍 (RTX 5060 Ti) かかった。Turbo 本体 int8_convrot ならおよそ3分の1の時間で済む計算になる。この倍率には、後の節で扱う int8 attention の効果も入っている。ベースの25ステップとベース+Turbo の LoRA の8ステップは、どちらも pytorch attention で動く。両者で比べると、ベースは RTX 5080 で約2.7倍、RTX 5060 Ti で約2.8倍の時間だった。プロンプトを毎回変える使い方では、プロンプトを読むテキストエンコーダが毎回動くので、ベースの25ステップと Turbo 本体 int8_convrot の差は縮み、RTX 5060 Ti では約2.8倍だった。RTX 5080 のプロンプトを変えた回は、Turbo 本体の側に大きく遅れた1枚が入ったため、倍率を出していない (1024×1024 の節で説明する。測り直しでは遅れは再現しなかった)。

測った中で速かったのは Turbo 本体 int8_convrot だった。ベース+Turbo の LoRA はそれより少し遅く、Turbo 本体を bf16 にするとさらに遅かった。数値は 1024×1024 の節に、ベース+Turbo の LoRA との差の理由は後の節に回す。bf16 が遅い理由は切り分けていない。画質は比べていないので、どれが良いかはこの記事では決めていない。

Qwen-Image-2.1-Turbo は、配布元 Qwen のモデルカードによれば、Qwen-Image-2.1 を8ステップで生成できるようにした加速版のチェックポイントで、文章からの画像生成と画像の編集の両方に使える。構造は Qwen-Image-2.1 と同じ 7B の画像生成モデルとされている。ComfyUI 用にファイルを再配布している Comfy-Org/Qwen-Image-2.1 の案内では、Turbo は8ステップで使い、Turbo 本体のファイルを使うか、ベースモデルに Turbo を抽出した LoRA を重ねるかを選べると書かれている。

配布元のモデルカードは diffusers で使う前提の説明が中心で、この記事はそれとは別に、ComfyUI 用に再配布されたファイルを ComfyUI で動かした結果をまとめている。ベースの Qwen-Image-2.1 の導入、透過 PNG、25ステップでの実測はQwen-Image-2.1をVRAM 16GBで動かす記事で詳しく扱った。

配布されているファイルと置き場所

ComfyUI 用のファイルは Comfy-Org/Qwen-Image-2.1 で配られている。下の表は2026年10月10日に取得したファイル (revision df942397) の一覧だ。置き場所は、テンプレート image_qwen_image_2_1_t2i のモデルの案内 (画像モデルは models/diffusion_models、テキストエンコーダは models/text_encoders、VAE は models/vae) と、配布元で Turbo の LoRA が置かれている loras フォルダに合わせた。

ファイル 役割 置き場所 (ComfyUI の models の下) 大きさ
qwen_image_2.1_turbo_int8_convrot.safetensors Turbo 本体 (画像モデル) diffusion_models 6.76GiB
qwen_image_2.1_turbo_bf16.safetensors Turbo 本体 (画像モデル) diffusion_models 13.25GiB
qwen_image_2.1_int8_convrot.safetensors ベース (画像モデル)。LoRA を重ねる側 diffusion_models 6.76GiB
qwen_image_2.1_turbo_lora_avg_rank_178_bf16.safetensors Turbo の LoRA loras 0.85GiB
qwen3vl_8b_int8_convrot.safetensors テキストエンコーダ text_encoders 8.71GiB
qwen3vl_8b_w4a8.safetensors テキストエンコーダ text_encoders 5.88GiB
qwen_image_2.1_vae_bf16.safetensors VAE vae 0.63GiB

大きさは取得したファイルのバイト数を GiB (1GiB = 1,073,741,824 バイト) に直した値だ。Hugging Face の配布ページは十進の GB で表示するので、数字が少し大きく見える。テンプレートのモデルの案内には、ベースの画像モデルが6.76 GB、テキストエンコーダ (int8_convrot) が8.71 GB、VAE が644.2 MB と書かれているが、取得したファイルのバイト数と比べると、これらは GB・MB でなく GiB・MiB で数えた値に当たる (VAE の644.2MiB は約0.63GiB)。

この記事の測定では、プロンプト拡張のノードを組まずに、ComfyUI の API でワークフローを送って Turbo 本体を動かした。使ったファイルは Turbo 本体 (int8_convrot か bf16 のどちらか)、テキストエンコーダ (int8_convrot か w4a8 のどちらか)、VAE の3つだった。この記事の測定では、Turbo 本体は int8_convrot のほうが bf16 より速く (1024×1024 の節)、ファイルも半分ほどだった。テキストエンコーダは int8_convrot と w4a8 のどちらでも最後まで生成できた。テキストエンコーダが動くプロンプトを変えた回の所要は、RTX 5060 Ti ではほぼ同じ (6.4秒と6.6秒)、RTX 5080 の測り直しでは w4a8 のほうが短く (3.9秒と3.2秒)、ワークフロー全体の所要で見た差の向きは2つの GPU 環境でそろわなかった。テキストエンコーダだけの処理時間は測っていない。画質は比べていないので、bf16 や int8_convrot のテキストエンコーダに画質の利点があるかどうかは分からない。ベースの Qwen-Image-2.1 をすでに使っているなら、Turbo の LoRA (qwen_image_2.1_turbo_lora_avg_rank_178_bf16.safetensors) だけを足してベースに重ねる方法もある。

テンプレートのモデルの案内にはプロンプト拡張用のモデル (qwen3.5_9b_qwen_image_2.1_pe_t2i.int8_convrot.safetensors) も載っているが、この記事の測定はプロンプト拡張を組まずに行ったので、このファイルは使っていない。このファイルを置かずに画面からテンプレートを実行できるかは確かめていない。

ライセンスは Qwen Research License で、使えるのは研究・評価の目的に限られる。商用で使うには、別の商用ライセンスを配布元から得る必要がある。

テンプレートから8ステップで出す手順

Turbo 専用のテンプレートは使わず、ベースの Qwen-Image-2.1 のテンプレートを書き換える。

  1. ComfyUI を更新する。GitHub のプルリクエストの記録では、リリース v0.39.0 (2026年10月5日) の後の2026年10月8日 (日付はどちらも UTC) に、Qwen-Image-2.1 を VRAM の少ない状態で動かすときの修正 (Fix qwen 2.1 rogues in low VRAM conditions) が開発版 (master) に入った。2026年10月10日の時点でリリース版はまだ v0.39.0 で、この修正は入っていない。この記事の測定は修正を含む開発版で行ったもので、v0.39.0 では測っていない。このプルリクエストで変わったファイルは、requirements.txt と Wan のモデルのファイルで、requirements.txt では依存パッケージ comfy-aimdo のバージョン指定が 0.5.5 から 0.5.6 に更新されている。Qwen-Image-2.1 のファイルは差分に無い。同じ条件で試すなら、開発版に更新したうえで依存パッケージも更新する。本体のコードだけを更新して comfy-aimdo が 0.5.5 のままだと、この記事の測定 (comfy-aimdo 0.5.6) と同じ組み合わせにはならない。手動で導入した環境なら、ComfyUI の公式の更新ガイドのとおり git pull の後に pip install -r requirements.txt を実行する。リリース版や Desktop 版では開発版にしか入っていない機能が使えないことがあるので、導入方法ごとの更新のしかたは同じガイドで確かめる。
  2. 前の節の表の置き場所へファイルを置く。
  3. テンプレート image_qwen_image_2_1_t2i を開く。2026年10月10日に Comfy-Org の workflow_templates を確認した範囲では、Qwen-Image-2.1 のテンプレートは文章からの生成・画像の編集・背景の除去の3つで、Turbo 用のテンプレートは見つけられなかった。
  4. 文章から画像を作る部分は1つのまとまったノード (サブグラフ Text to Image (Qwen Image 2.1)) になっている。このノードの上で unet_name (画像モデルのファイル) を Turbo 本体のファイルにする。既定はベースの qwen_image_2.1_int8_convrot.safetensors になっている。
  5. 同じノードの steps を25から8にする。cfg は既定の1のままにする。steps を変えないと25ステップのまま動く。テンプレートの説明書き (Note: Usage) には、Qwen-Image-2.1 の公式の手順は euler で40〜50ステップほどを使い、このテンプレートは25ステップから始める、とある。
  6. 出力の大きさは ResolutionSelector で決まる。既定は1メガピクセル (1024×1024) で、2048×2048 にするには 1:1 と4メガピクセルを選ぶ。
  7. ベース+Turbo の LoRA を使う場合は、unet_name をベースのままにし、まとまったノードの中の UNETLoader と QwenImage21Cache の間に LoraLoaderModelOnly を入れて、Turbo の LoRA を強さ1.0で読み込む。steps は同じく8にする。この記事の測定はこの結線を画面ではなく ComfyUI の API でワークフローとして送ったもので、画面上でサブグラフの中を結線し直す操作は確かめていない。

テンプレートの KSampler の既定は25ステップ・CFG 1・euler・simple で、モデルとサンプラーのあいだに QwenImage21Cache (auto・default) が挟まっている。ステップ数以外はこのままでよく、この記事の測定でもステップ数以外は変えていない。配布元が推奨する刻みで出す方法は、後の「公式の刻みとComfyUIの既定の刻み」の節で扱う。

1024×1024の所要時間 (RTX 5080とRTX 5060 Ti)

1つの条件ごとに ComfyUI を起動し直し、1枚目 (モデルの読み込みを含む)、同じプロンプトで seed だけ変えた3枚、プロンプトを変えた3枚の順に続けて生成した。

RTX 5080 (1024×1024)

組み合わせ 1枚目 (モデル読み込み込み) 同じプロンプトで seed だけ変えた2〜4枚目 (中央値と範囲) プロンプトを変えた5〜7枚目 (中央値と範囲) メインメモリの確保量 (ピーク)
ベース int8_convrot・25ステップ (テキストエンコーダ int8_convrot) 11.6秒 8.1秒 (8.0〜8.1秒) 9.2秒 (9.2〜9.4秒) 19.0GiB
Turbo int8_convrot・8ステップ (テキストエンコーダ int8_convrot) 6.9秒 2.7秒 (2.6〜2.7秒) 5.3秒 (4.3〜11.4秒) 19.1GiB
Turbo int8_convrot・8ステップ (テキストエンコーダ w4a8) 5.9秒 2.8秒 (2.6〜2.9秒) 3枚とも3.4秒 19.2GiB
Turbo bf16・8ステップ (テキストエンコーダ w4a8) 9.9秒 6.4秒 (6.4〜7.4秒) 8.2秒 (8.1〜8.3秒) 21.2GiB
ベース int8_convrot+Turbo の LoRA・8ステップ (テキストエンコーダ int8_convrot) 7.0秒 3枚とも3.0秒 4.0秒 (4.0〜4.1秒) 19.1GiB

RTX 5060 Ti (1024×1024)

組み合わせ 1枚目 (モデル読み込み込み) 同じプロンプトで seed だけ変えた2〜4枚目 (中央値と範囲) プロンプトを変えた5〜7枚目 (中央値と範囲) メインメモリの確保量 (ピーク)
ベース int8_convrot・25ステップ (テキストエンコーダ int8_convrot) 20.8秒 16.5秒 (16.4〜16.5秒) 17.8秒 (17.8〜17.9秒) 19.5GiB
Turbo int8_convrot・8ステップ (テキストエンコーダ int8_convrot) 9.1秒 5.2秒 (5.1〜5.2秒) 6.4秒 (6.4〜6.8秒) 19.5GiB
Turbo int8_convrot・8ステップ (テキストエンコーダ w4a8) 10.2秒 5.2秒 (5.1〜5.3秒) 6.6秒 (6.5〜6.6秒) 19.1GiB
Turbo bf16・8ステップ (テキストエンコーダ w4a8) 17.7秒 12.9秒 (12.8〜12.9秒) 15.6秒 (15.5〜15.6秒) 20.1GiB
ベース int8_convrot+Turbo の LoRA・8ステップ (テキストエンコーダ int8_convrot) 11.2秒 5.9秒 (5.9〜6.0秒) 7.1秒 (7.1〜7.2秒) 19.5GiB

どちらの表も測定機1台での値で、メインメモリ96GB の測定機で測っている。1枚目と seed だけ変えた回はコーヒーカップの1種のプロンプト、プロンプトを変えた回は残りの3種で、seed だけ変えた回の中央値と倍率は複数のプロンプトを平均した速さではない。32GB や 64GB の PC で同じ組み合わせが動くか、同じ速さになるかは測っていない。RTX 5060 Ti は外付け接続で、内蔵接続とは接続の帯域が違う。画質と文字の正確さは比べていない。

次の図は、同じプロンプトのまま seed だけ変えた回の中央値を、ベースの25ステップ・Turbo 本体 int8_convrot・ベース+Turbo の LoRA (どれもテキストエンコーダ int8_convrot) で並べたものだ。seed だけ変えた回はテキストエンコーダの結果が使い回されるのでその時間を含まないが、VAE での画像への変換や保存なども入っていて、画像モデルの計算時間だけを測った値ではない。

1024×1024 の1枚あたりの所要 (seed だけ変えた回)1024×1024 で同じプロンプトのまま seed を変えて次の1枚を出す時間を、GPU と画像モデルの組み合わせごとに比べる5080・ベース8.1秒5080・Turbo int82.7秒5080・ベース+LoRA3.0秒5060 Ti・ベース16.5秒5060 Ti・Turbo int85.2秒5060 Ti・ベース+LoRA5.9秒単位: 秒
図: 1024×1024 で同じプロンプトのまま seed だけ変えて続けて出した2〜4枚目の中央値 (2026年10月10日測定)。5080 は RTX 5080、5060 Ti は RTX 5060 Ti (外付け接続)。ベースは25ステップ、Turbo int8 (Turbo 本体 int8_convrot) とベース+LoRA (ベース+Turbo の LoRA) は8ステップ。どれもテキストエンコーダ int8_convrot の行の値

表の読み方

同じプロンプトで seed だけ変えた回は、テキストエンコーダの結果が ComfyUI のキャッシュから使い回されるので速い。プロンプトを変えた回は、テキストエンコーダがそのつど動くぶん長くなる。プロンプトを書き換えながら出す普段の使い方に近いのは後者だ。

テキストエンコーダを int8_convrot から w4a8 にしても、seed だけ変えて生成したときの所要時間はほとんど変わらなかった (RTX 5080 で2.7秒と2.8秒、RTX 5060 Ti ではどちらも5.2秒)。ただし、同じプロンプトの回はテキストエンコーダが動かないので、テキストエンコーダ自体の速さを比べたことにはならない。

Turbo 本体を bf16 にすると int8_convrot より長くかかった。テキストエンコーダを w4a8 にそろえて同じプロンプトの2枚目以降で比べると、bf16 は int8_convrot の RTX 5080 で約2.3倍 (6.4秒と2.8秒)、RTX 5060 Ti で約2.5倍 (12.9秒と5.2秒) の時間がかかった。

RTX 5060 Ti は RTX 5080 より長くかかった。Turbo 本体 int8_convrot・テキストエンコーダ int8_convrot の同じプロンプトの2枚目以降で、RTX 5060 Ti は RTX 5080 の 1024×1024 で約1.9倍、2048×2048 で約2.2倍の時間だった。1枚目は読み込みを含むぶん長いが、OS のファイルキャッシュの状態を制御していない参考値にとどまる。

RTX 5080 でプロンプト変更時に処理が遅れた件

RTX 5080 の Turbo 本体 int8_convrot・テキストエンコーダ int8_convrot の行で、プロンプトを変えた回の範囲が広いのは、3枚が11.4秒・5.3秒・4.3秒とばらついたためだ。11.4秒の1枚が大きく遅く、ほかの2枚も後の測り直し (3.7〜3.9秒) より少し長かった。遅かった回では、画像を作るステップ1回あたりの時間が延びていたうえ、ステップ以外の処理 (テキストエンコーダなど) の時間も長かった。なぜ遅れたかは切り分けていない。同じ日の測定がすべて終わった後に、同じ条件でプロンプトを変えた6枚を測り直した結果が次の表で、3.7〜3.9秒にそろい、この遅れは再現しなかった。

テキストエンコーダ seed だけ変えた2枚目 プロンプトを変えた3〜8枚目 (6枚の中央値と範囲) ComfyUI を起動する前に使われていた VRAM
int8_convrot 2.5秒 3.9秒 (3.7〜3.9秒) 0.8GiB
w4a8 2.5秒 3.2秒 (3.1〜3.3秒) 0.8GiB

測り直しは、1枚目、同じプロンプトで seed だけ変えた1枚、プロンプトを変えた6枚 (同じ4種のプロンプトを順に) を、テキストエンコーダごとに ComfyUI を起動し直して続けて生成したものだ。遅れの原因は突き止めていない。分かっている違いは、ComfyUI を起動する前に使われていた VRAM が本測定のこの条件で1.5GiB、測り直しで0.8GiB だったこと (RTX 5080 は画面表示を兼ねている) までで、これが原因かどうかは確かめていない。このため、この行のプロンプトを変えた回の中央値は、ほかの行と比べる材料にしない。

2048×2048の所要時間

2048×2048 では、1つの条件の中で1枚目、同じプロンプトで seed だけ変えた2枚、プロンプトを変えた1枚の順に4枚を続けて生成した。

GPU 組み合わせ 1枚目 (モデル読み込み込み) 同じプロンプトで seed だけ変えた2〜3枚目 プロンプトを変えた4枚目 メインメモリの確保量 (ピーク)
RTX 5080 ベース int8_convrot・25ステップ (テキストエンコーダ int8_convrot) 60.9秒 55.3秒 (54.4〜56.1秒) 60.6秒 19.2GiB
RTX 5080 Turbo int8_convrot・8ステップ (テキストエンコーダ int8_convrot) 17.5秒 13.6秒 (13.4〜13.7秒) 18.1秒 19.1GiB
RTX 5080 Turbo int8_convrot・8ステップ (テキストエンコーダ w4a8) 17.2秒 13.6秒 (13.5〜13.6秒) 15.9秒 19.5GiB
RTX 5080 Turbo bf16・8ステップ (テキストエンコーダ w4a8) 36.5秒 34.8秒 (32.3〜37.4秒) 34.5秒 22.6GiB
RTX 5060 Ti ベース int8_convrot・25ステップ (テキストエンコーダ int8_convrot) 132.2秒 127.5秒 (127.5〜127.6秒) 129.5秒 19.6GiB
RTX 5060 Ti Turbo int8_convrot・8ステップ (テキストエンコーダ int8_convrot) 34.8秒 2枚とも30.1秒 32.2秒 19.7GiB
RTX 5060 Ti Turbo int8_convrot・8ステップ (テキストエンコーダ w4a8) 34.7秒 30.1秒 (30.0〜30.1秒) 32.4秒 20.1GiB
RTX 5060 Ti Turbo bf16・8ステップ (テキストエンコーダ w4a8) 73.6秒 68.8秒 (68.6〜69.0秒) 71.3秒 22.4GiB

2048×2048 では、ベースの25ステップと Turbo の8ステップの差は 1024×1024 より大きく開いた。同じプロンプトの2枚目以降で、ベースの25ステップは Turbo 本体 int8_convrot の8ステップの RTX 5080 で約4.1倍、RTX 5060 Ti で約4.2倍の時間がかかった。どちらもステップ数の比 (25÷8 で約3.1倍) より大きい。ComfyUI のログに出たステップ1回あたりの時間 (同じプロンプトの2〜3枚目) も、RTX 5080 でベース1.91〜1.98秒・Turbo 本体 int8_convrot 1.06〜1.08秒、RTX 5060 Ti でベース4.56秒・Turbo 本体 int8_convrot 2.48秒と、Turbo 本体 int8_convrot のほうが短かった。ベースのファイルには int8 attention の指定が無いので、その有無が差に関わっている可能性はあるが、2048×2048 ではベース+Turbo の LoRA も attention の上書きも測っておらず、切り分けていない。Turbo 本体を bf16 にした組み合わせは、int8_convrot の組み合わせより長くかかった (同じプロンプトの2枚目以降で RTX 5080 は34.8秒と13.6秒、RTX 5060 Ti は68.8秒と30.1秒)。

2枚目以降は条件ごとに3枚だけの値で、ばらつきの幅を詰めた測定ではない。前の節と同じく96GB の測定機1台での値で、プロンプトは2種 (1枚目と seed だけ変えた回はコーヒーカップ、プロンプトを変えた回は漁師) だった。32GB や 64GB の PC での動作と速さ、RTX 5060 Ti を内蔵接続にしたときの値は測っていない。

Turbo本体とベース+LoRAの速さの差は何で説明できるか

attention は画像モデルの中で重い計算の1つだ。Comfy-Org の Turbo 本体 int8_convrot のファイルには、画像モデルの32個のブロックのうち31個に、この計算を comfy_kitchen_int8 (int8 で計算する実装) で行う指定が書き込まれていた。ベースの int8_convrot、Turbo 本体の bf16、Turbo の LoRA のファイルには、この指定が1つも無かった。2026年10月10日に、取得したファイルのヘッダー (safetensors のテンソル名) で指定の数を数え、指定の中身も読んで、31個すべてが comfy_kitchen_int8 であることを確かめた。調べたのはこの4ファイルだけだ。ファイル名の int8_convrot は重みの形式の名前で、この attention の指定とは別のものだ。

ComfyUI のコードでは、モデルのファイルにブロックごとの attention の指定があれば読み込むときに読み、comfy_kitchen_int8 の指定は int8 attention が使える環境でだけ有効にする。この測定環境では、どの条件でも ComfyUI の起動ログに Using pytorch attention と出ていて、指定が無いファイルを使うベース+Turbo の LoRA は pytorch attention で動いていた。指定が無いときにどの attention を使うかは、ComfyUI の起動オプションなどの設定によって変わる。

この違いを確かめるため、ModelAttentionBackend ノードを画像モデルの読み込みの後に足し、Turbo 本体の attention を pytorch attention に上書きして測った。このノードは attention の実装を pytorch attention か comfy kitchen attention (int8) に差し替えるもので、選んだ実装が使えないときは警告を出して PyTorch の attention を使う。

GPU attention 同じプロンプトで seed だけ変えた2〜4枚目 プロンプトを変えた5〜7枚目 同じ seed の画像どうしの差 (PSNR、7組)
RTX 5080 ファイルの指定のまま (int8 attention) 2.7秒 (2.6〜2.7秒) 5.3秒 (4.3〜11.4秒) (比べる基準)
RTX 5080 pytorch attention に上書き 2.9秒 (2.9〜3.0秒) 4.1秒 (4.0〜4.2秒) 38.2dB (20.0〜44.9dB)
RTX 5060 Ti ファイルの指定のまま (int8 attention) 5.2秒 (5.1〜5.2秒) 6.4秒 (6.4〜6.8秒) (比べる基準)
RTX 5060 Ti pytorch attention に上書き 3枚とも5.9秒 3枚とも7.1秒 36.5dB (20.9〜47.4dB)

Turbo 本体 int8_convrot・テキストエンコーダ int8_convrot・1024×1024・8ステップで、ほかの設定は 1024×1024 の節の表と同じ。PSNR は同じ順番で同じプロンプト・同じ seed の画像どうし (1枚目から7枚目までの7組) を RGB の全画素で比べた値で、大きいほど近く、完全に同じなら無限大になる。

同じプロンプトで seed だけ変えた回で比べると、上書きした Turbo 本体はファイルの指定のままより RTX 5080 で約1.1倍、RTX 5060 Ti で約1.1倍の時間がかかった。その時間 (2.9秒と5.9秒) は、ベース+Turbo の LoRA で seed だけ変えた回 (3.0秒と5.9秒) とほぼ同じだった。ベース+Turbo の LoRA も、Turbo 本体 int8_convrot より RTX 5080 で約1.1倍、RTX 5060 Ti で約1.1倍かかっている。RTX 5080 のファイルの指定のままの行のプロンプトを変えた回には、1024×1024 の節で書いた遅れが入っているので、比べる材料にしていない。

丸める前の中央値で計算すると、ベース+Turbo の LoRA と Turbo 本体 int8_convrot の時間の差のうち、上書きして延びた時間が占める割合は、RTX 5080 で約8割、RTX 5060 Ti でほぼ全部だった。int8 attention の指定がこの差に関わっていることを支持する結果だが、LoRA を重ねること自体の処理や、測ったときの状態の影響は切り分けていない。比べた条件はどれも ComfyUI を1回起動して測った値だ。Turbo 本体 bf16 のファイルにもこの指定は無いが、bf16 が int8_convrot より遅い分 (1024×1024 の節で約2.3倍と約2.5倍) は attention の上書きで変わった幅 (約1.1倍) より大きく、attention 以外の差も含む。その内訳は切り分けていない。

上書きすると、同じ seed でも画像は変わった (PSNR の中央値で38.2dB と36.5dB、範囲の下端は20.0dB と20.9dB)。中央値は、設定をそろえて2つの GPU 環境で出した画像の差 (後の節の表で39.0dB) と近い値だが、組によっては大きく変わった。同じ GPU・同じ条件で2回出したときの差は測っていない。PSNR は2枚がどれだけ違うかを表すだけで、どちらの画質が良いかは表さない。この表も測定機1台での値 (プロンプトの割り当ては 1024×1024 の節と同じ) で、96GB 以外のメインメモリの PC と、RTX 5060 Ti の内蔵接続では測っていない。

公式の刻みとComfyUIの既定の刻み

刻みは、ステップごとにノイズをどこまで減らすかの並び (sigma の列) のことだ。配布元のモデルカードによれば、Turbo の推奨の刻みはチェックポイントに保存されていて、CFG は既定で1。prefix KV キャッシュで、文章と参照画像の部分をステップをまたいで使い回す。同じくモデルカードの Sampling の節では、保存された8ステップの刻みは diffusers で自動で読み込まれ、ステップ数だけを指定しても置き換わらない、と案内されている。刻みを明示して渡せば置き換えられるが、ほかの刻みはこのチェックポイントでは評価されていない、とも書かれている。

ComfyUI のテンプレートで steps を8にした場合、ComfyUI は Qwen-Image-2.1 のモデル設定と KSampler のスケジューラから8ステップの刻みを作る。ComfyUI のコードでは、Qwen-Image-2.1 の刻みは設定値 shift 0.69 から作られ、注記ではこの値がベースモデルのスケジューラが 1024×1024 のときに使う値 (mu) に当たるとされている。この 0.69 は、刻みの計算では e の0.69乗 (約1.99) として使われる。つまり、後で出てくる diffusers のスケジューラの式に shift 約1.99 を入れたのと同じ計算になる。0.69 をそのまま diffusers の式に入れても、ComfyUI の刻みにはならない。スケジューラ simple は、モデルの刻みの表からステップ数に合わせて等間隔に値を拾い、最後に0を足す。

ステップ ComfyUI の既定 (shift 0.69・simple) 公式 (model_index.json の sample_sigmas)
1 1 1
2 0.933137 0.978453
3 0.856757 0.95418
4 0.768672 0.926626
5 0.665967 0.89508
6 0.544674 0.845148
7 0.399245 0.704534
8 0.221679 0.414568

ComfyUI の既定の列は、ComfyUI (commit 0df64eb2) のコードで shift 0.69 とスケジューラ simple から8ステップぶんを計算した値で、公式の列は Qwen/Qwen-Image-2.1-Turbo の model_index.json の sample_sigmas の値 (1.0, 0.978453, 0.95418, 0.926626, 0.89508, 0.845148, 0.704534, 0.414568 の8つ)。どちらも最後に0が付き、小数第6位までで示した。値はノイズの量の目安で、1.0 が全部ノイズ、0 がノイズなしを表す。

表の値を並べると、公式の刻みは5ステップ目まで0.89 より上にとどまり、ノイズの多い前半に多くのステップを使って、最後の1ステップで0.414568 から0へ大きく下げる並びになっている。ComfyUI の既定は、後ろほど1ステップで下げる幅が広がっていくが、公式の刻みほど最後に偏っていない並びだ。

diffusers の QwenImage21Pipeline の説明では、sample_sigmas は終端 (ノイズ0) を除いた値で、その個数がステップ数になり、値はスケジューラの設定どおりの処理を経て使われる。Turbo のスケジューラの設定は shift が 1.0 で、解像度に応じたシフト (use_dynamic_shifting) を使わない。diffusers のスケジューラは、この設定では刻みを shift×σ/(1+(shift−1)×σ) で変換するが、shift が 1.0 ならこの式は値を変えないので、diffusers では公式の8つの値がそのまま使われる。

ComfyUI で同じ刻みにするには、サブグラフ Text to Image (Qwen Image 2.1) の中の KSampler の代わりに SamplerCustomAdvanced を使い、刻みを ManualSigmas ノードで渡す。この記事の測定はどの条件も ComfyUI の API でワークフローを送って行っており、画面上でサブグラフの中の KSampler を差し替える操作は確かめていない。ManualSigmas は刻みの値をカンマ区切りの文字列で受け取って SIGMAS として出すノードで、実験的なノードとして扱われている。この記事の測定では、RandomNoise、CFG 1 の CFGGuider、euler の KSamplerSelect と組み合わせ、ManualSigmas に公式の8つの値と最後の0を次のように入れた。

1.0, 0.978453, 0.95418, 0.926626, 0.89508, 0.845148, 0.704534, 0.414568, 0

刻み 1枚目 (モデル読み込み込み) 同じプロンプトで seed だけ変えた2〜4枚目 プロンプトを変えた5〜7枚目
ComfyUI の既定 (KSampler・simple) 6.9秒 2.7秒 (2.6〜2.7秒) 5.3秒 (4.3〜11.4秒)
公式の刻み (ManualSigmas+SamplerCustomAdvanced) 5.6秒 3枚とも2.4秒 3.5秒 (3.4〜3.5秒)

RTX 5080・Turbo 本体 int8_convrot・テキストエンコーダ int8_convrot・1024×1024・8ステップでの値で、メインメモリ96GB の測定機1台でしか測っていない (プロンプトの割り当ては 1024×1024 の節と同じ)。公式の刻みにしても遅くはならず、同じプロンプトの2枚目以降の中央値は公式2.4秒、既定2.7秒だった。プロンプトを変えた回は、既定の側に1024×1024 の節で書いた遅れが入っているので比べていない。

配布元はほかの刻みをこのチェックポイントでは評価していない。ComfyUI の既定の刻みは、テンプレートを8ステップにしたときに使われる値であり、どちらの刻みで出した画像が良いかはこの記事では比べていない。同じく少ないステップで画像を出す別のモデルについては、Z-Image-Turbo を VRAM 16GB で動かした実測がある。

刻みとファイルで画像はどれだけ変わるか

PSNR は、同じプロンプト・同じ seed の2枚がどれだけ近いかを表す数値で、大きいほど近い。表の最後の行は、設定をそろえて2つの GPU 環境で出した画像の差で、参考として載せた。GPU のほか接続方式・画面表示の有無・測った時刻も違い、GPU だけの差とは切り分けていない。同じ GPU で出し直したときの差は測っておらず、ほかの行とは比べたプロンプトと seed の組み方も違う。

比べた2枚 組の数 PSNR (中央値と範囲) 画素値の差の絶対値の平均 (0〜255、中央値と範囲)
Turbo 本体: ComfyUI の既定の刻み ↔ 公式の刻み 8組 17.2dB (13.1〜21.2dB) 13.3 (11.4〜33.1)
ベース+Turbo の LoRA: ComfyUI の既定の刻み ↔ 公式の刻み 8組 18.2dB (14.9〜21.2dB) 15.7 (11.6〜30.0)
ComfyUI の既定の刻みで Turbo 本体 ↔ ベース+Turbo の LoRA 8組 20.0dB (15.5〜26.4dB) 9.8 (6.2〜21.1)
公式の刻みで Turbo 本体 ↔ ベース+Turbo の LoRA 8組 18.7dB (12.3〜27.9dB) 9.4 (4.5〜44.7)
公式の刻みの Turbo 本体 ↔ ベースの25ステップ 8組 15.5dB (10.6〜22.8dB) 17.6 (8.3〜55.9)
(参考) 同じ条件の RTX 5080 ↔ RTX 5060 Ti (Turbo 本体・既定の刻み) 7組 39.0dB (25.3〜47.4dB) 1.7 (0.3〜6.9)

RTX 5080・1024×1024・テキストエンコーダ int8_convrot で、8ステップ (ベースの行は25ステップ) の画像を、4種のプロンプト×seed 2つ (1001・1002) の8枚ずつ条件ごとに出し、同じプロンプト・同じ seed の画像どうしを RGB の全画素で比べた (画像は透明度の情報を持つ PNG で保存されたが、アルファは除いた)。ベース+Turbo の LoRA の公式の刻みの行は、Turbo 本体のチェックポイントに保存された値をそのまま当てたものだ。最後の行だけは、1024×1024 の節の Turbo 本体の条件で、同じ順番の画像どうし (7組) を2つの GPU 環境の間で比べている。

刻みを公式に替えた2枚は、PSNR の中央値が17.2dB と18.2dB で、最後の行の GPU 環境の間の組 (39.0dB) よりずっと離れていて、同じ seed でも別の画像として出た。公式の刻みの条件は KSampler から SamplerCustomAdvanced への組み替えも含み、組み替えだけの影響は別に測っていない。Turbo 本体とベース+Turbo の LoRA も、同じ刻みどうしで別の画像として出た (20.0dB と18.7dB)。公式の刻みの Turbo 本体とベースの25ステップの組は15.5dB で、表の中でいちばん離れていた。

PSNR と画素値の差は2枚がどれだけ違うかを表すだけで、どちらの画質が良いか、どちらがプロンプトに忠実かは表さない。4種のプロンプト・2つの seed だけの値でもある。手元の用途で比べるなら、同じプロンプトと seed で並べて出すと違いを見られる。

画像の編集 (参照画像1枚と3枚)

テンプレート image_qwen_image_2_1_image_edit でも、画像モデル本体と steps を替えれば Turbo 本体で編集できた。テンプレートと同じノードと値で、画像モデル本体・ステップ数・参照画像だけを変えている。出力はどれも 1024×1024 で、TextEncodeQwenImage21 の resolution はテンプレートと同じ0 (参照画像をそれぞれの大きさのまま使う設定) にした。

GPU 参照画像 画像モデル 1枚目 (モデル読み込み込み) 同じ指示で seed だけ変えた2〜4枚目 指示を変えた5〜7枚目 メインメモリの確保量 (ピーク)
RTX 5080 1枚 ベース int8_convrot・25ステップ 17.1秒 3枚とも10.8秒 15.1秒 (14.7〜15.6秒) 19.3GiB
RTX 5080 1枚 Turbo 本体 int8_convrot・8ステップ 8.3秒 3枚とも3.2秒 7.3秒 (7.2〜7.3秒) 19.3GiB
RTX 5080 3枚 Turbo 本体 int8_convrot・8ステップ 16.8秒 6.0秒 (5.9〜6.0秒) 測っていない 26.2GiB
RTX 5060 Ti 1枚 ベース int8_convrot・25ステップ 30.4秒 21.9秒 (21.9〜22.0秒) 27.9秒 (27.8〜27.9秒) 19.8GiB
RTX 5060 Ti 1枚 Turbo 本体 int8_convrot・8ステップ 14.6秒 6.5秒 (6.5〜6.6秒) 12.7秒 (12.6〜12.8秒) 19.8GiB
RTX 5060 Ti 3枚 Turbo 本体 int8_convrot・8ステップ 34.4秒 13.6秒 (13.5〜13.7秒) 測っていない 26.4GiB

参照画像は Turbo 本体 int8_convrot・テキストエンコーダ int8_convrot・8ステップ・seed 2001 で先に作った 1024×1024 の3枚 (白いTシャツの女性・茶色の革のジャケット・明るいリビング)。参照1枚の指示は2種を交互に、参照3枚の指示は1種で、参照3枚は指示を変える測定をしていない。

参照画像1枚の編集では、同じ指示で seed だけ変えた2枚目以降で、ベースの25ステップは Turbo 本体 int8_convrot の8ステップの RTX 5080 で約3.4倍、RTX 5060 Ti で約3.4倍の時間がかかった。この倍率は int8 attention の指定がある Turbo 本体 int8_convrot との比で、編集では attention の影響を切り分けておらず、ベース+Turbo の LoRA も測っていない。指示を変えると TextEncodeQwenImage21 が動き直し、文章と参照画像をテキストエンコーダで読むほか、参照画像を VAE で潜在表現に変える処理もやり直す。Turbo 本体では、同じ指示の回より RTX 5080 で4.1秒、RTX 5060 Ti で6.2秒長かった (増えた時間の内訳は測っていない)。参照画像3枚でも、どちらの GPU でも最後まで生成できた (seed だけ変えた回で6.0秒と13.6秒)。

編集の出来は比べていない。測定機1台・メインメモリ96GB での値で、32GB や 64GB の PC、RTX 5060 Ti の内蔵接続での動作と速さは測っていない。

VRAMとメインメモリの読み方

GPU 測った条件の数 ComfyUI を起動する前に使われていた VRAM (画面表示など) nvidia-smi で見たカード全体の使用量のピーク メインメモリの確保量のピーク
RTX 5080 14条件 0.9〜1.5GiB 14.9〜15.3GiB 18.9〜26.2GiB
RTX 5060 Ti 13条件 0.1GiB 未満 13.7〜14.6GiB 19.1〜26.4GiB

VRAM とメインメモリの表は、この記事で所要を測った文章からの生成・刻み・attention・編集の条件 (2枚目以降も含むすべての生成) での値の範囲を示していて、ピークは条件ごとの最大値だ。1024×1024 の節の測り直しと、画像の差を比べるために別に出した生成は含まない。起動前の VRAM は、条件ごとに ComfyUI を起動する直前に nvidia-smi で読んだカード全体の使用量だ。ピークは生成中に nvidia-smi で繰り返し読んだときの最大値で、読むたびに ComfyUI の実行状況の確認と0.25秒の待ちが入るので、ごく短いピークは取り逃しうる。nvidia-smi のカード全体の使用量は、ComfyUI 以外 (画面表示など) のぶんも含む。

nvidia-smi で見たカード全体の使用量のピークは、RTX 5080 で14.9〜15.3GiB、RTX 5060 Ti で13.7〜14.6GiB と、どちらも16GB のカードの上限に近い値まで上がった。ComfyUI はこの測定環境では、モデルを必要に応じて VRAM に載せる方式 (dynamic VRAM。起動ログに DynamicVRAM support detected and enabled と表示される) で動いていたので、このピークを「その組み合わせに必要な VRAM」として読むことはできない。起動オプションと dynamic VRAM の関係はComfyUI の起動オプションを実測したガイドにまとめてある。

メインメモリの確保量は、ComfyUI のプロセスと子プロセスの PrivateUsage (Windows のプライベートなコミット) の合計を、読むたびに0.25秒待って繰り返し読んだときの最大値だ。文章からの生成では Turbo 本体 bf16 の組み合わせがいちばん大きく (1024×1024 と 2048×2048 の表で20.1〜22.6GiB)、範囲の上端は参照画像3枚の編集 (26.2GiB と26.4GiB) だった。確保量は OS がメモリとページファイルで裏づける量で、物理メモリの使用量でも PC 全体に必要なメモリの量でもないので、この値だけで必要なメモリの容量は決められない。画像生成でメインメモリをどう見積もるかは画像・動画生成でシステム RAM が何GB要るかの記事で扱っている。

値はすべて96GB の測定機1台でのもので (プロンプトの割り当ては検証環境と測り方の節)、32GB や 64GB の PC で同じ組み合わせが動くか、同じ速さになるかは測っていない。RTX 5060 Ti は外付け接続で、内蔵接続とは帯域が違う。

検証環境と測り方

  • 環境: GPU は RTX 5080 16GB (PCIe 5.0 x16 の内蔵接続・画面表示を兼ねる) と RTX 5060 Ti 16GB (画面表示なし) で、環境変数 CUDA_VISIBLE_DEVICES でどちらか1枚だけを ComfyUI に見せて使い分けた。起動ログの CUDA のデバイス名と、生成中に PyTorch が GPU に確保したメモリの記録で、指定した GPU で動いていたことを確かめた。RTX 5060 Ti は OCuLink (PCIe 4.0 x4) の外付け接続で、内蔵接続とは帯域が違い、その影響は測っていない。CPU は Intel Core i7-14700F、メインメモリ96GB、Windows 11、NVIDIA ドライバ 610.47。
  • バージョン: ComfyUI は開発版 (2026年10月8日以降の master、commit 0df64eb2。版の表示は 0.39.0)、PyTorch 2.14.0+cu130 (2026年9月30日 (UTC) に公開された 2.14.1 では測っていない)、Python 3.12.10、comfy-kitchen 0.2.37、comfy-aimdo 0.5.6、フロントエンド 1.55.14。起動ログに DynamicVRAM support detected and enabled と出る状態。起動オプションは、ポート・出力先・ユーザーデータの置き場などの隔離用のものと、既定と同じ値の --preview-method none だけを足した。測定用の起動スクリプトは ComfyUI の本体より先に PyTorch を読み込む作りで、起動ログに Torch already imported の警告が出ていた (通常の起動のしかたと速さ・メモリの使い方が同じかは確かめていない)。テンプレートは workflow_templates の2026年10月8日の版。
  • 測り方: ワークフローは公式テンプレート image_qwen_image_2_1_t2i と同じノードと値 (CFG 1・euler・simple・QwenImage21Cache は auto/default・TextEncodeQwenImage21 の resolution 1024) で、テンプレートで既定でオフになっているプロンプト拡張のノードは組んでいない。この resolution は参照画像を縮める大きさの設定で、文章の解像度ではない。変えたのは画像モデル本体とテキストエンコーダのファイル、ステップ数 (Turbo は8、ベースはテンプレートの25)、解像度 (EmptyLatentImage に直接指定) だけ。LoRA の条件はベースの画像モデルの後に LoraLoaderModelOnly (強さ 1.0) で Turbo の LoRA を重ねた。編集は image_qwen_image_2_1_image_edit と同じノードと値を使った。所要は ComfyUI がワークフローの実行を始めてから終えるまで (ComfyUI のログに出る Prompt executed in と同じ区間)。
  • 試行回数: 1つの条件ごとに ComfyUI を起動し直した。1024×1024 と参照画像1枚の編集は、1枚目、同じプロンプト (指示) で seed だけ変えた3枚、プロンプト (指示) を変えた3枚の計7枚。2048×2048 は1枚目、seed だけ変えた2枚、プロンプトを変えた1枚の計4枚。参照画像3枚の編集では、プロンプトを変えた回は測っていない。seed は、文章からの生成が447606998181262、編集が891836227295375 から1枚ごとに1ずつ増やし、比べる条件の間で同じ seed を使った (測り直しも同じ seed から)。
  • 1枚目の定義: モデルの読み込みを含む1枚。モデルのファイルは取得時に全体を読んで sha256 を照合した。各条件の起動前には、パス・大きさ・更新時刻が記録と同じなら記録済みの sha256 を使い、違うときだけ全体を読み直して計算した。OS のファイルキャッシュの状態をそろえたり空けたりする処理はしていない。1枚目はキャッシュの状態に左右される参考値で、ディスクからの初回読み込みを測ったものではない。
  • ばらつき: 表の値は中央値と範囲 (最小〜最大)。RTX 5080 の Turbo 本体 int8_convrot・テキストエンコーダ int8_convrot の、プロンプトを変えた回のうち1枚が大きく遅れ、測り直しでは再現しなかった (1024×1024 の節)。
  • メモリの読み方: VRAM は生成中に nvidia-smi で繰り返し読んだカード全体の使用量の最大値 (読むたびに ComfyUI の実行状況の確認と0.25秒の待ちが入る)。メインメモリの確保量は ComfyUI のプロセスと子プロセスの PrivateUsage (Windows のプライベートなコミット) の合計を、0.25秒の待ちをはさんで繰り返し読んだ最大値。どちらもごく短いピークは取り逃しうる。
  • 画像の比べ方: 同じプロンプト・同じ seed の画像どうしの PSNR と画素値の差の絶対値の平均を、RGB の全画素で計算した。画像は透明度の情報 (アルファ) を持つ PNG で保存されたが、アルファは除いて RGB の値だけを使ったので、透明度の差や背景に重ねたときの見え方はこの数値では見ていない。中央値は丸める前の各組の値から計算した。刻みとファイルの比較は seed 1001・1002 の2つ。

文章からの生成に使った4種のプロンプトは次のとおり (上から赤い陶器のコーヒーカップの商品写真、年配の漁師の顔の写真、日本語の文字入りのカフェのポスター、ガラスの香水瓶)。1枚目と seed だけ変えた回はコーヒーカップ、プロンプトを変えた回は 1024×1024 で残りの3種、2048×2048 で漁師を使い、刻みとファイルで画像を比べた節だけは4種すべてをseed 2つずつで出した。

  1. a red ceramic coffee cup on a plain surface, product photo
  2. close-up portrait photo of an elderly fisherman with weathered skin, soft window light, 85mm lens, shallow depth of field
  3. a minimalist Japanese cafe poster with the large title text 「秋の新メニュー」 and the smaller text 「栗のモンブラン 580円」, warm autumn colors, clean typography
  4. This is an RGBA format image with transparency. a glass perfume bottle with a gold cap. The image has an alpha channel and a transparent background.

編集の参照画像は次の3つのプロンプトで Turbo 本体から作った。

  • a woman in her thirties standing in a plain photo studio, full body, neutral expression, white t-shirt and blue jeans, photo
  • a light brown leather jacket on a plain white background, product photo
  • a bright Scandinavian living room with a large window and a green sofa, interior photo

参照画像1枚の編集の指示は次の2つを交互に使った。

  • Make her wear a black business suit and change the background to a city street at night.
  • Change her t-shirt to a red sweater and make her smile.

参照画像3枚の編集の指示は The woman from image 1 wears the leather jacket from image 2 and stands in the living room from image 3. の1つ。

本記事の実測値は2026年10月10日に、上記の測定機・設定で計測したもの。測定機の構成の詳細は検証環境のページに載せている。ほかの GPU やモデルの実測はAIハードウェア実測データベースから探せる。

この記事で測っていないこと

  • 画質・文字の正確さ・プロンプトへの忠実さの比較
  • メインメモリ32GB・64GB の PC での動作と速さ
  • ComfyUI v0.39.0 (リリース版) での動作
  • プロンプト拡張を使ったときの動作と速さ
  • 8ステップ以外のステップ数と、公式・ComfyUI の既定以外の刻み
  • LoRA の強さを1.0以外にしたとき、ほかの LoRA と併用したとき
  • 1024×1024 と 2048×2048 以外の解像度・縦横比
  • RTX 50 シリーズ以外の GPU と Linux
  • ディスクから初めて読むときの時間
  • diffusers での速さ
  • PyTorch の CUDA 13.0 版 (cu130) 以外の環境
  • VRAM が16GB 未満のカード

よくある質問

ベースの Qwen-Image-2.1 をもう使っている。Turbo 本体を落とすか、LoRA で済ませるか

ベースのテンプレートに LoRA を読み込むノードを足し、steps を8にすれば、8ステップで出せた (この結線は ComfyUI の API で送って測っており、画面上での結線は確かめていない)。速さは Turbo 本体 int8_convrot のほうが少し速く、1024×1024 の同じプロンプトで seed だけ変えた回では、ベース+Turbo の LoRA は RTX 5080・RTX 5060 Ti とも約1.1倍の時間がかかった。この記事の測定では、調べた4つのファイルのうち Turbo 本体 int8_convrot のファイルにだけ入っている int8 attention の指定がこの差に関わっているとみられ、Turbo 本体の attention を pytorch attention に上書きすると差の大部分が埋まった。この記事で比べた8組 (4種のプロンプト×seed 2つ。ComfyUI の既定の刻みと公式の刻みのそれぞれで比べた) では、同じプロンプト・同じ seed でも Turbo 本体とベース+Turbo の LoRA の画像は一致しなかった。

steps を8にするだけでよいか

画像モデルを Turbo 本体 (またはベース+Turbo の LoRA) にしたうえでなら、ComfyUI ではそれで8ステップで生成できる。ベースの画像モデルのまま steps だけを8にしても、Turbo の8ステップにはならない。また、ComfyUI で steps を8にしたときに使われる刻み (ComfyUI の既定の刻み) は、配布元が Turbo 本体のチェックポイントに保存した推奨の刻みとは違う。推奨の刻みにしたいなら、SamplerCustomAdvanced と ManualSigmas で公式の値を入れる。この記事ではベース+Turbo の LoRA にも同じ値を入れて比べたが、2026年10月10日時点で Qwen のモデルカードと Comfy-Org の案内を見た範囲では、この値を LoRA に使う案内は見つけられなかった。どちらの刻みの画像が良いかは比べていないので、同じプロンプト・同じ seed で両方を出して見比べると違いが分かる。

モデルを商用で使えるか

ライセンス (Qwen Research License) では、使えるのは研究・評価の目的に限られ、商用で使うには別の商用ライセンスが要る。

参考資料

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