RTX PRO 5500 Blackwellの84GBは何を載せられるか|公称スペックで読む容量・帯域・演算の増え方

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この記事の要点

  • 容量を一段上げると何が一緒に伸びるか — RTX PRO 5000 から RTX PRO 5500 で CUDAコアは約1.5倍になる一方、メモリ帯域の公称値は約4%しか増えていない。
  • 84GBに載るのはどこまでか — 配布元が示す Qwen3.5-122B-A10B の必要メモリは 4-bit で 70GB、6-bit 以上はこの容量の外に出る。
  • いま買えるのか — NVIDIA の製品ページの供給状況は「Coming Soon」の表示で、価格の掲載は見つけられなかった。

数値は2026年9月15日時点の公称値で、必要メモリだけは RAM と VRAM の合計に対する値。

84GB という数字がまず目を引くが、容量が上がったときに動くのは容量だけではない。RTX PRO Blackwell のデスクトップ向けラインに、84GB を積む RTX PRO 5500 Blackwell Workstation Edition が加わった。手元にあるのが VRAM 12GB や 16GB、32GB のカードだったとしても、この1枚の公称値の並びは「容量を一段上げると、何が一緒に伸びて何が伸びないのか」を読むための材料になる。

結論を先に置くと、容量・演算・帯域・電力は同じ比率では増えていない。演算ユニットの数は大きく増え、電力枠は倍になり、メモリ帯域はほとんど動いていない。この記事は、公称値と販売元の製品ページで確認できる範囲を軸にその増え方を項目ごとに分解し (公称に無い項目は出所を明示して扱う)、当サイトが16GB・32GBで測った値との位置関係まで並べる。

2026年9月15日に確認した時点では、NVIDIA の製品ページの供給状況は「Coming Soon」の表示で、価格は同ページに見つけられなかった。買える時期も金額も分からない段階だが、公称値の並びは先に読める。容量を一段上げるときに何を見ればいいかは、ここから取り出せる。

演算と帯域のどちらが速度を決めるのかという前提はGPUのコア数はAI性能にどこまで効くか|演算精度とメモリ帯域で変わる速度の出方で扱っている。手元のカードの容量のほうから読み始めたい場合はVRAM 12GBの壁はどこにあるか|context・動画フレーム数・あふれた後の分かれ目を実測が近い。

84GBは、RTX PRO Blackwellの並びのどこに入るか

RTX PRO Blackwell のデスクトップ向けラインは、GPUメモリで見ると RTX PRO 2000 の 16GB、RTX PRO 4000 および RTX PRO 4000 SFF Edition の 24GB、RTX PRO 4500 の 32GB、RTX PRO 5000 の 48GB および 72GB、RTX PRO 5500 の 84GB、RTX PRO 6000 の 96GB という並びになっている(2026年9月15日にNVIDIAの製品比較ページで確認)。手元のカードが 16GB なら、容量だけで言えばこのラインの下端と並ぶ。32GB なら RTX PRO 4500 と同じ位置になる。

刻みの幅は上にいくほど大きい。16GB から 24GB が 8GB、24GB から 32GB が 8GB、32GB から 48GB が 16GB、48GB から 72GB が 24GB。84GB が入ったことで、72GB と 96GB の間にあった 24GB の開きが 12GB ずつの2段に分かれた。上にいくほど1段が大きくなるのはこのラインの元からの性質で、84GB はその大きい段の1つを割る位置に来ている。

容量の近い RTX PRO 5000・RTX PRO 6000 Workstation Edition と、コンシューマ側で容量の上端にあたる GeForce RTX 5090 を、確認できた項目だけで並べる。

項目 RTX PRO 5000 RTX PRO 5500 RTX PRO 6000 Workstation Edition GeForce RTX 5090
GPUメモリ 48GB / 72GB GDDR7 ECC (NVIDIA 公称) 84GB GDDR7 ECC (NVIDIA 公称) 96GB GDDR7 ECC (NVIDIA 公称) 32GB GDDR7 (NVIDIA 公称)
メモリ帯域 1,344 GB/s (NVIDIA 公称) 1,398 GB/s (NVIDIA 公称) 1,792 GB/s (NVIDIA 公称) 1,792 GB/s (NVIDIA 公称)
最大消費電力 300W (NVIDIA 公称) 最大 600W (NVIDIA 公称) 600W (NVIDIA 公称) 575W (NVIDIA 公称・Total Graphics Power)
CUDAコア 14,080 (PNY の製品ページ) 21,760 (PNY の製品ページ) 24,064 (PNY の製品ページ) 21,760 (NVIDIA 公称)
メモリインターフェース 384-bit (NVIDIA データシート 2026年7月改訂・PNY) 416-bit (PNY の製品ページの記載) / 448-bit (技術媒体が構成から逆算した推定) 512-bit (PNY の製品ページ) 512-bit (NVIDIA 公称)

表の値は項目によって出所が違う。容量・メモリ帯域・最大消費電力は NVIDIA の製品ページと比較ページの公称値、CUDAコアは販売元である PNY の製品ページによる記載。GeForce RTX 5090 だけは CUDAコアとメモリインターフェースのどちらも NVIDIA の GeForce 比較ページの公称値になる。メモリインターフェースだけは資料ごとに記載が分かれるので、セルの括弧に出所をそのまま入れた。NVIDIA の各製品ページには CUDAコア数の項目が無く、この項目は販売元の表から取っている。GeForce RTX 5090 の電力欄は Total Graphics Power という別のラベルで記載された値である。

項目ごとに補足が要るところもある。RTX PRO 5000 の帯域と最大消費電力は、NVIDIA が 48GB 版と 72GB 版を分けずに1つの値として記載している。PNY 側も両版に同じ CUDAコア 14,080 を記載しており、版で違うのは後述の MIG の刻みになる。メモリインターフェース幅は 384-bit で、NVIDIA のデータシートの現行改訂版 (2026年7月) と PNY のデータシート・製品ページがいずれもこの値を記載している。同じ文書番号の1つ前の改訂版 (2026年6月) には 512-bit と書かれており、そちらを見ると値が食い違う。帯域 1,344 GB/s のほうはどの版でも一致している。RTX PRO 6000 の列は Workstation Edition の値で、同じ 96GB でも Max-Q Workstation Edition は最大消費電力 300W、4.4インチ高 × 10.5インチ長と、別の製品として並べられている。そして NVIDIA は RTX PRO 5500 の仕様表そのものを暫定と注記している。

MIG による分割の刻みは機種ごとに違う。

機種 MIGの刻み
RTX PRO 5000 (48GB版) 最大 2×24GB または 1×48GB
RTX PRO 5000 (72GB版) 最大 2×36GB または 1×72GB
RTX PRO 5500 最大 2×42GB または 1×84GB
RTX PRO 6000 Workstation Edition 最大 4×24GB または 2×48GB または 1×96GB

刻みの値は PNY の製品ページによる記載。RTX PRO 5500 については NVIDIA の製品ページにも、最大2つの完全に分離したインスタンスに分割できると記載がある。分割しない場合は 84GB の単一インスタンスとして使う。分割後の各インスタンスがどれだけの処理性能を出すかは、公称に記載が無い。

筐体側の前提も押さえておく。空冷版のフォームファクタは 4.4インチ高 × 11.1インチ長のデュアルスロットで、冷却はアクティブな空冷。液冷版は RXM フォームファクタで用意されると注記されており、NVIDIA はこのカードをラックマウント型ワークステーションへの搭載を想定した製品として位置づけている。デュアルスロットのまま最大600Wを受ける構成で、いま 300W 級のカードを1枚挿している環境と同じ感覚では、電源容量も設置場所も置けない。空冷版か液冷版かでその条件はさらに変わる。インターフェースは PCIe Gen5 x16、映像出力は DisplayPort 2.1b、映像エンジンは第9世代 NVENC と第6世代 NVDEC を備える。

容量・演算・帯域は同じ比率では増えていない

RTX PRO 5000 から RTX PRO 5500 への変化は、項目ごとに幅がまるで違う。両者は同じ Blackwell 世代の中の型番差で、世代が入れ替わったわけではない点も先に置いておく。

項目 RTX PRO 5000 (72GB版) RTX PRO 5500
GPUメモリ (NVIDIA 公称) 72GB 84GB +12GB
CUDAコア (PNY の製品ページ) 14,080 21,760 約1.5倍
最大消費電力 (NVIDIA 公称) 300W 最大 600W
メモリ帯域 (NVIDIA 公称) 1,344 GB/s 1,398 GB/s 約4%増

容量は 72GB 版に対して 12GB 増え、演算側の CUDAコアは PNY の記載で 14,080 から 21,760 へ約1.5倍、電力枠は 300W から最大 600W へ倍になる。一方でメモリ帯域は 1,344 GB/s から 1,398 GB/s で、増分は約4%にとどまる。容量と演算が動いた分だけ帯域も動く、という形にはなっていない。

上位の RTX PRO 6000 Workstation Edition と並べると、帯域側の位置はもっとはっきりする。公称 1,792 GB/s に対して RTX PRO 5500 の 1,398 GB/s は約78%の水準。容量では 96GB に対して 84GB と近いところまで来ているのに、帯域のほうは同じようには詰まっていない。容量と帯域は、このライン内でも別々に動いている。

CUDAコアが同数の GeForce RTX 5090 のほうが、帯域は広い

この並びでもう一つ目を引く対比がある。PNY の製品ページが RTX PRO 5500 に記載する CUDAコア 21,760 は、NVIDIA が GeForce 比較ページで RTX 5090 に記載する 21,760 と同じ数。一方で公称メモリ帯域は、RTX PRO 5500 が 1,398 GB/s、RTX 5090 が 1,792 GB/s。演算ユニットの数は並ぶのに、帯域はコンシューマ側のカードのほうが広い。RTX PRO 5500 の帯域は RTX 5090 の約78%にあたる。

ただしコア数が一致することと、性能が同じであることは別の話になる。容量は 84GB と 32GB で開きがあり、メモリインターフェースの記載も、電力枠も、分離して使えるかどうかも別の項目。並んでいるのは CUDAコアの数という1点だけで、それ以外は揃っていない。

メモリインターフェース幅についても、幅の狭さをそのまま帯域の狭さとして読むことはできない。資料が示す RTX PRO 5500 の幅は 416-bit と 448-bit の2通りで、いずれも GeForce RTX 5090 と RTX PRO 6000 の 512-bit を下回る。しかしメモリ帯域は幅と転送レートの積で決まる。幅と転送レートのどちらか一方だけを取り出しても帯域は出ないので、幅の数字だけを見て帯域の大小を決めることはできない。

この読み方は RTX PRO 5500 に限った話ではない。容量が 16GB から 32GB、32GB から 48GB と上がっていくとき、同じ表の中で帯域がどれだけ動いているかは機種ごとに違う。容量だけを見て「一段上げれば全部が一段上がる」と受け取ると、実際に速度を決めているところを見落とすことになる。カタログを開いたとき、容量の隣にある帯域と演算も同時に見る癖をつけておくと、この取り違えは避けられる。

ここまでの比はすべて公称値どうしの比になる。実機が到達する値ではなく、帯域の比がそのまま処理時間の比になるという意味でもない。RTX PRO 5500 で1本のモデルが何秒で応答を返すかは、公称値の並びからは決まらない。

84GBに重みが載るのはどこまでか

容量の話に戻す。84GB という枠に何が入るかを、公表されている値だけで見ていく。量子化版の配布元である Unsloth は、Qwen3.5-122B-A10B を動かすのに必要なメモリとして次の値を示している。

量子化 配布元が示す必要メモリ
3-bit 60GB
4-bit 70GB
6-bit 106GB
8-bit 132GB
BF16 245GB

この表と 84GB を引き比べて向きが変わらないのは、4-bit の 70GB が内側、6-bit の 106GB 以上が外側、という位置関係になる。以下はその読み方に付く条件になる。

この表の数値の定義は RAM と VRAM の合計(またはユニファイドメモリ)で、GPU単体の VRAM 容量とは基準が違う。したがって 84GB と引き比べて言えるのは、「VRAM 単体でこの要件を単独で満たせるのはどこまでか」という位置関係にとどまる。要件が合計に対して書かれている以上、VRAM だけで満たすのか、システムメモリと合わせて満たすのかは、この値からは区別できない。値を示しているのはモデルの開発元ではなく量子化版の配布元で、当サイトが測ったものでもない。

別の量として、bartowski が配布する同じモデルの GGUF ファイルサイズも並べておく。Q4_K_M が 77.62GB、Q5_K_M が 90.43GB、Q6_K が 108.41GB、Q8_0 が 132.60GB。これは配布ファイルの大きさであって、配布元が示す必要メモリとは別の量になる。一方が他方を裏付けるわけではないので、2つを見比べて「どちらの数字も同じことを言っている」と読むことはできない。

さらに、ファイルサイズの表記と GPU の搭載容量の表記は単位の取り方が揃う保証が無い。だから引き算して余白の具体値を出すことはしない。ただし大小の向きのほうは決まる。ファイルサイズで見ると、ここで並べた4種類の中で 84GB の内側にあるのは Q4_K_M(77.62GB)で、Q5_K_M(90.43GB)・Q6_K(108.41GB)・Q8_0(132.60GB)は外側になる。同じ配布ページにはこれより小さい量子化も並んでいる。Q5_K_M は差が小さいが、搭載容量の 84GB を最も有利に 84GiB (=約90.19GB) と読んでもなお 90.43GB のほうが上回る。ファイルの大きさで見るかぎり、全量をカードへ載せるには足りない側になる。

手元の感覚とつなげるなら、当サイトが16GBのカードで測った27〜35B級の所要量は 16.3〜21.9 GiB に収まっている。122B級のために配布元が示す必要メモリは、4-bit でも 70GB。片方は VRAM 側で測った所要量、もう片方は RAM と VRAM の合計に対する要件で、基準も単位の取り方も違う。引き算はしないし、同じ土俵に並べられる量でもない。84GB が相手にしているのは、いま16GBや32GBで回しているモデルより一段どころではなく上のサイズになる。

もう一つ落とせないのが、いま並べた GGUF のファイルサイズは、重みが占めるメモリ量の大まかな目安でしかないという点。ずれるのは実行時の常駐量のほうで、配布ページに表示されたファイルの大きさそのものが動くわけではない。実際の常駐量は、メタデータや mmap の扱い、実行時の持ち方、再パック、GPU へのオフロードの有無でずれる。実行時にはコンテキスト長に応じた KVキャッシュなどの確保分が別に必要になり、その増え方はモデル・コンテキスト長・KVキャッシュの量子化で変わる。長文を入れたときにどれだけ膨らむかはローカルLLMで長文を扱うとVRAMはどれだけ増えるか|16GBでKVキャッシュ膨張を実測し、あふれない設定を探るで16GBのカードを使って測っている。

そして 8-bit の 132GB や BF16 の 245GB は、84GB の外側にある。この枠に収まらないさらに大きいモデルを手元で扱えるかどうかは巨大オープンモデルは手元で動くのか比較|GLM-5.2・Kimi K2.6・Qwen3.5 122Bの必要メモリ早見表で比較している。

帯域で決まる工程と、演算で決まる工程

容量が足りたとして、次に問題になるのはどこか。ここは工程によって分かれる。

生成されたトークンを1つずつ出していく工程の速度は、メモリ帯域を1トークンあたりに読むバイト数で割った値でおおよそ決まる、という近似がある。この形は、容量の大きさと帯域の広さが別々に動く構成どうしを見比べた当サイトの別の計測で当てはまった(NVIDIA DGX Sparkは買いか|16GB GPUを実測し公開ベンチと突き合わせて見えた、128GBが効く条件)。容量が大きくても帯域が狭い構成では、載ること自体は問題にならないのに生成が伸びない、という分かれ方をする。batch 1 の単一利用を前提にした近似で、帯域の比がそのまま速度の比になるとも限らず、どの程度の差になるかは実機で測らないと分からない。

この近似に立つなら、容量が増えても帯域が同じ比率で増えていない場合、容量の増分がそのまま生成速度の増分になるとは限らない。逆向きに、帯域の増分だけを見て生成側の伸びを言い当てられるわけでもない。なお近似の裏づけになっているのは、容量と帯域が別々に動く構成どうしの比較で、当サイトが16GB1枚と32GB2枚で測った結果はここには使えない。1枚と2枚では容量以外の条件も同時に動くからである。

一方、プロンプトの読み込みは、生成トークンを1つずつ出す工程に比べて演算性能の影響を受けやすい。画像・動画の生成も演算性能が影響する場面が多いが、どこで先に上限が来るかはモデルと処理条件で変わる。短いプロンプトや前方一致のキャッシュが使えた場合のように、演算側で決まらない経路もある。そして処理の速さは CUDAコアの数だけで決まるものではなく、Tensor コア・使う精度・クロック・メモリ系・カーネルの実装なども関わる。だから CUDAコアが約1.5倍という差から、どちらの工程がどれだけ速くなるかを見積もることはできない。

もう一つ、この分け方はモデルがカードのメモリに載りきっている場合のものになる。あふれた場合は帯域でも演算でもなく、主記憶とのやり取りが先に足を引っ張る。当サイトが16GB1枚と32GB2枚で測った比較でも、常駐率が 100% を割った側と全部載った側とで生成速度の水準が違っていた。ただしこの2構成は容量以外の条件も同時に変わるため、この差を常駐率だけの効果として切り分けてはいない。あふれたときの落ち方はモデルの作りによって大きく分かれる。ここから先は、実機で測った値が要る。

自分の構成で見るべき軸は、この順番になる。まず、使うモデルが載りきっているか。載りきっているなら、その工程で速度を決めやすいのは帯域か、演算か(条件によってはどちらとも決まらない経路もある)。どちらかの見当がつけば、カタログのどこを見ればいいかも決まる。ただし、そこから先の具体的な速度は公称値からは出せない。

16GB・32GBの実測から見た距離

84GB という数字を自分の現在地から測るために、当サイトが16GBと32GBで測った値を置く。まず、27〜35B級を1本ずつ読み込んだときの所要量。

モデル パラメータ 所要量
qwen3.5:27b 27B 16.3 GiB
qwen3-coder:30b 30.5B (うち活性 3.3B) 18.4 GiB
gemma4:31b 30.7B 20.0 GiB
qwen3:32b 32.8B 21.4 GiB
qwen3.6:35b-a3b 35B (うち活性 3B) 21.9 GiB

計測環境は、RTX 5080 16GB / Ollama 0.32.3 の /api/ps が報告するモデル合計サイズ / すべて Q4_K_M / コンテキスト8192 / think=false / 生成512トークン / 乱数の種42 / 3回計測の中央値。計測日は2026年8月17日・8月25日・9月8日。この所要量は当該環境で Ollama 0.32.3 が報告した値で、別のカード・別のドライバ・別の版で同じ値になることは確認していない。RTX PRO 5500 では測っていない。

次に、同じ5本を1枚構成と2枚構成で測り比べた結果。

構成 常駐率 生成速度
VRAM 16GB のカード1枚 58〜78% 7.4〜72.5 tok/s
16GBのカード2枚 (合計32GB) 100% 25.7〜157.8 tok/s

計測環境は、RTX 5080 16GB の1枚と、RTX 5080 16GB + RTX 5060 Ti 16GB(OCuLink接続)の2枚合計32GBで、他の条件は所要量の表と同じ。1枚の構成では常駐率が 58〜78% にとどまり、モデルの一部がカードの外に出た状態での計測になっている。加えて1枚と2枚では演算資源・メモリ帯域・カード間の分割も同時に変わるため、速度差をどれか1つの効果として切り分けていない。帯域と演算の切り分けをこの表に当てはめて読むことはできない。RTX PRO 5500 のような単一の大容量カードでの値でもない。

2つの表から読めるのは位置関係である。27〜35B級であれば、合計 32GB の側では常駐率 100% に入り、16GB 1枚では一部が外に出る。つまり現在地が 16GB なら、まず問題になるのは「あふれているかどうか」で、帯域や演算の話はその次に来る。84GB はそこからさらに上にあり、間には 48GB と 72GB の段が挟まっている。16GB からの「次の一段」ではなく、いくつか段を飛ばした先の容量という位置づけになる。

1本ごとの速度や、2枚構成で何がどう変わったかの詳細はVRAM 32GBで何が変わるか|16GBであふれる27〜35B級をカード2枚で全部載せて実測に置いている。

公称スペックで決まっていないこと

ここまで公称値を並べてきたが、公称でも決まっていない項目がいくつかある。

メモリインターフェース幅

PNY の製品ページは RTX PRO 5500 のメモリインターフェースを 416-bit と記載している。一方で技術媒体は、416-bit が正しいとすれば 3GB と 4GB のダイ密度を混在させることになると指摘したうえで、PNY 側の誤記で実際は 448-bit のほうが収まりがよいのではないかと推定している。2026年9月15日に確認した範囲では、NVIDIA の RTX PRO 5500 製品ページと製品比較ページのどちらにも、この項目は見つけられなかった。

片方は販売元の製品ページに載った値、もう片方は構成からの逆算による推定で、証拠の性質が違う。どちらか一方を正しい値として採ることはしない。幅が 416-bit でも 448-bit でも 512-bit は下回るが、帯域は幅と転送レートの積で決まる以上、幅の記載から帯域の上下が出るわけでもない。

仕様表そのものの位置づけ

NVIDIA は RTX PRO 5500 の仕様表に「Preliminary product specifications, subject to change.」と注記している(2026年9月15日時点の記載)。容量・帯域・電力・MIG・寸法を含む各項目が暫定値で、最終仕様ではない。ここまで並べた公称値は、この注記の下にある値として読む必要がある。

価格と供給時期

NVIDIA の製品ページは供給状況を「Coming Soon」と表示し、入荷を知らせる通知登録の導線を置いている(2026年9月15日時点の表示)。同じ日に確認した範囲では、同ページに価格は見つけられなかった。金額を推し量る材料が公称側に無い以上、ここに数字は置かない。

まとめ

84GB は、72GB と 96GB の間を 12GB ずつの2段に割る位置に入った。ただし公称値を項目ごとに追うと、容量が上がったことと他の項目が上がったことは同じ幅では起きていない。CUDAコアは PNY の記載で 14,080 から 21,760 へ約1.5倍、電力枠は 300W から最大 600W へ倍になり、メモリ帯域は 1,344 GB/s から 1,398 GB/s の約4%増 (RTX PRO 5500 側の値は NVIDIA が暫定と注記したもの)。CUDAコアが同数の GeForce RTX 5090 の公称帯域は 1,792 GB/s で、RTX PRO 5500 の 1,398 GB/s はその約78%にとどまる。演算ユニットの数が並んでも、帯域までは並ばない。

載せる側で言えば、配布元が RAM と VRAM の合計に対して示す Qwen3.5-122B-A10B の必要メモリは 4-bit で 70GB、6-bit で 106GB。GPU単体の 84GB とは基準が違う値なので、読めるのは「VRAM 単体で要件を単独で満たせるのはどこまでか」という位置関係までになる。速度の側については、生成を1トークンずつ出す工程が帯域でおおよそ決まるという近似があるだけで、このカードでどれだけ出るかは公称値からは導けない。

手元の容量を一段上げるときに持ち帰れる見方は1つある。「どれだけ大きなモデルを載せられるか」と「載ったモデルがどれだけ速く答えを出すか」は、カタログの別々の項目で決まる。前者を決めるのは容量、後者を決めるのは工程しだいで帯域か演算。容量が一段上がっていても、帯域が一緒に上がっているとは限らない。その2つを並べて見れば、次の1枚が自分の詰まりどころに届くかどうかは、買う前に机の上で判断できる。

よくある質問

価格はいくらで、いつ買えるのか

2026年9月15日に確認した範囲では、NVIDIA の製品ページに価格は見つけられなかった。同ページの供給状況の表示は「Coming Soon」で、入荷の通知に登録する導線が置かれている段階になる。金額と時期のどちらも、この時点では確認できていない。

CUDAコアが同数の GeForce RTX 5090 とはどういう関係なのか

公称で並ぶのは CUDAコアの数(21,760)だけである。メモリは RTX 5090 が 32GB・512-bit・1,792 GB/s、RTX PRO 5500 が 84GB で、メモリインターフェースは、販売元 PNY の製品ページが 416-bit と記載する一方、技術媒体はこれを誤記として 448-bit と推定しており、確定していない。帯域では RTX PRO 5500 が約78%の側に来る。容量が要る用途と帯域で決まる工程で向きが逆になるため、片方をもう片方の置き換えとして扱える関係ではない。

84GBあれば122B級のモデルは載るのか

公表値から言えるのは、配布元が示す必要メモリと、配布ファイルの大きさが、84GB の枠に対してどちら側にあるか、までになる。Qwen3.5-122B-A10B なら、その値は 4-bit で 70GB、6-bit で 106GB。ただしこの必要メモリは RAM と VRAM の合計に対する要件で、GPU単体の容量とは基準が違う。実行時のコンテキスト長に応じた確保分をこの値が含んでいるかどうかも、配布元の記載からは決まらない。載るかどうかと、載ったあとの速さは別の話で、後者は実機で測るしかない。

MIGで2つに分けると1つあたり何GBになるのか

NVIDIA の製品ページと PNY の製品ページによれば、最大2つの完全に分離したインスタンスに分割でき、1インスタンスあたり最大 42GB を割り当てられる。分割しない場合は 84GB の単一インスタンスとして使う。分割後の各インスタンスがどれだけの処理性能を出すかは、公称に記載が無い。

本記事のスペックは2026年9月15日に各公式ページで確認した公称値であり、当サイトは RTX PRO 5500 を実機で測っていない。本文中の実測値は当サイトの RTX 5080 16GB・RTX 5060 Ti 16GB による別構成での計測である

参考資料

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