Anima 2B 用の LoRA を自分で学習しようとすると、トレーナーが何種類も見つかって、どれを選べばいいのか迷いやすいところです。Anima TrainFlow、Citron、Anima Standalone Trainer、それに動画素材から作る neme-anima まで、対応 OS も必要な VRAM も配布形態もそれぞれ違います。
この分かれ方には理由があります。Anima 2B が従来の Stable Diffusion(SDXL)とは別系統のモデルで、学習の土台になるバックエンドが二つに分かれているためです。本記事では、各トレーナーが何の上に成り立っているかを整理したうえで、手元の GPU の VRAM と対応 OS、そして目的から候補を絞り込めるように比較します。
前提を一つ。Anima 2B 本体とその派生物には、配布元のモデルカードで非商用ライセンスが設定されています。学習して得られる LoRA もこの派生物に含まれるため、商用利用を考えている場合は、後述のライセンス節を先に確認しておくのが安全です。
- Anima 2B の LoRA トレーナーは「sd-scripts 系」と「diffusion-pipe 系」の二つのバックエンドに分かれている
- 6GB VRAM から始めやすいのは TrainFlow(Windows)と Citron(Windows/Linux 中心、macOS はローカル学習より Colab 利用が現実的)
- Anima 2B 本体と、学習した LoRA は非商用ライセンス。商用は配布元への問い合わせが必要
- なぜ Anima 2B の LoRA トレーナーは分かれているのか
- 主要トレーナー比較表|バックエンド・VRAM・OS で並べる
- Anima TrainFlow|6GB+目安・Windows・ポータブルで手早く始める
- Citron Anima LoRA Trainer UI|低 VRAM 向けで、クロス OS とクラウドに届く
- Anima Standalone Trainer|環境を自分で管理する分離型
- neme-anima|動画素材から 3 ステップでキャラ LoRA を作る
- コマンドラインで直接学習する|sd-scripts と diffusion-pipe
- OneTrainer は今は待ち|未対応の理由
- VRAM 別・目的別の選び方
- ライセンスの注意|学習した LoRA は非商用
- よくある質問
- まとめ|土台と OS で候補は絞れる
- あわせて読みたい
- 参考資料
なぜ Anima 2B の LoRA トレーナーは分かれているのか
Anima 2B は、CircleStone Labs と Comfy Org が共同で公開した 20 億パラメータの画像生成モデルです。モデルカードによれば、ベースは NVIDIA の Cosmos-Predict2-2B-Text2Image で、「Built on NVIDIA Cosmos」と明記されています。つまり Stable Diffusion(SDXL)系ではなく、NVIDIA Cosmos 系の DiT(Diffusion Transformer)に連なる別系統のモデルです。テキストエンコーダにも Qwen3 系が使われており、SDXL 用に設計された既存の学習ツールがそのままでは噛み合いません。
このため、SDXL や Flux の学習で定番だった汎用トレーナーの一部は、2026 年 6 月時点でまだ Anima に対応していません。一方で、2026 年 2 月に二つの学習基盤が相次いで Anima 対応を入れたことで、それぞれの上に GUI ツールが育ちました。トレーナーが何種類も並んでいるのは、この二つの土台のどちらに乗っているかの違いが大きい、と整理できます。
二つの学習バックエンド|sd-scripts と diffusion-pipe
一つ目は kohya-ss の sd-scripts です。Stable Diffusion 系の LoRA 学習で広く使われてきたライブラリで、コミュニティの貢献者(duongve 氏)が Anima 用の学習スクリプトを実装し、その Pull Request が 2026 年 2 月 8 日に本家へマージされました。マージ後の sd-scripts には、Anima の DiT 構造(28 ブロックの DiT、AdaLN-LoRA など)に対応した LoRA ネットワーク実装が含まれます。Windows でも Linux でも動かせる点が、後述の GUI ツールが Windows 中心に広がった背景にあります。
二つ目は tdrussell の diffusion-pipe です。複数の拡散モデルを、1 枚の GPU に収まらない規模でも学習できるパイプライン並列の学習スクリプトで、更新履歴に「2026-02-04: Support Anima」と記録されています。Anima のモデルカード自体が、ファインチューニングの手引きとしてこの diffusion-pipe の設定例を参照しており、いわば配布元が案内する経路です。ただしネイティブ Windows での動作は「難しいか不可能」とされ、Windows Subsystem for Linux(WSL 2)か Linux が前提になります。
この「sd-scripts 系か、diffusion-pipe 系か」という土台の違いが、対応 OS や操作方法の差にそのまま表れます。まず比較表で全体を俯瞰してから、個別に見ていきます。
主要トレーナー比較表|バックエンド・VRAM・OS で並べる
2026 年 6 月時点で Anima 2B の LoRA を学習できる主なツールを、学習バックエンド・VRAM 目安・対応 OS・形態・コードライセンスで並べます。本表は公式モデルカードと、更新が続く公開リポジトリから 2026 年 6 月 16 日時点で確認した代表例です。VRAM の数字は各 README が示す目安で、解像度・rank・バッチサイズ・データセットによって必要量は増減します。6GB などの値は動作保証ではなく、低 VRAM 設定での目安です。いずれも学習には CUDA 対応の NVIDIA GPU が前提で、たとえば Citron の既定は bf16(混合精度)で Ampere 世代以降(RTX 30/40 系)を想定しています。古い世代の 6GB GPU では設定変更が必要になることがあります。
| トレーナー | 学習バックエンド | VRAM 目安(README 記載) | 対応 OS | 形態・UI | コードライセンス |
|---|---|---|---|---|---|
| Anima TrainFlow(ThetaCursed) | 改造版 sd-scripts | 6GB+ 目安 | Windows 10/11 | 1 ページ GUI・ポータブル配布 | MIT |
| Citron Anima LoRA Trainer UI(citronlegacy) | sd-scripts ラッパー | 6GB 未満(既定設定) | Windows / Linux(学習は CUDA GPU 必須。Mac はクラウド経由) | Gradio Web アプリ・Colab 版あり | MIT |
| Anima Standalone Trainer(gazingstars123) | sd-scripts ベース | 公称なし | Windows / Linux | 分離型 Web UI(Node.js)・複数 GPU は拡張中 | Apache-2.0 |
| neme-anima(negaga53) | diffusion-pipe ラッパー | 6GB(学習)/4GB(抽出) | Linux・WSL 2 | 動画→タグ→学習の 3 ステップ | MIT |
| sd-scripts 直(kohya-ss) | 学習基盤そのもの | 設定依存 | Windows / Linux | コマンドライン | Apache-2.0(一部 MIT / BSD-3) |
| diffusion-pipe 直(tdrussell) | 学習基盤そのもの | 公称なし | Linux・WSL 2 | コマンドライン(TOML 設定) | GPL-3.0 |
| OneTrainer(Nerogar) | 未対応(安定版。preview で検証中) | — | — | GUI | AGPL-3.0(安定版は Anima 未対応) |
表の「コードライセンス」は、ツール本体のコードに対するものです。学習して得られる LoRA そのもののライセンスとは別で、LoRA はモデル本体(Anima 2B)の派生物として非商用の扱いになります。この点はライセンス節で改めて触れます。
Anima TrainFlow|6GB+目安・Windows・ポータブルで手早く始める
Anima TrainFlow(ThetaCursed が公開)は、Anima 2B 向けに改造した sd-scripts をエンジンに使い、ほぼすべての操作を 1 ページに集めた Web UI を持つトレーナーです。公式 README では「6GB の VRAM でも動くよう最適化」とされています(いずれも動作には CUDA 対応の NVIDIA GPU が必要です)。学習時間の目安は「RTX 3060 12GB で計測しておよそ 1 時間」と README に記載されています(データセット規模や設定で変わる参考値です)。対応 OS は Windows 10/11、ライセンスは MIT です。
特徴は、事前にビルドされた Python 環境を同梱したポータブル配布で、環境構築の手間が省ける点。データセットを投入すると解像度やアスペクト比を自動で見積もるスマートデータセット解析、学習中の生成サンプルをリアルタイムで表示するライブプレビュー、学習率を自動調整する Prodigy オプティマイザの標準対応など、設定ミスによる GPU 時間の取りこぼしを減らす機能がまとまっています。Windows で手早く始めたい場合の、扱いやすい入口の一つです。
動作要件やパラメータの考え方、ステップ単位の進行管理など、TrainFlow 単体の詳しい仕組みは Anima TrainFlow の動作要件と仕組みを解説した記事でまとめています。本記事は、その TrainFlow をほかの選択肢と並べて位置づけ直す比較の視点です。VRAM クラス別の目安については ComfyUI 推奨スペックを VRAM 別に実測した記事も判断材料になります。
Citron Anima LoRA Trainer UI|低 VRAM 向けで、クロス OS とクラウドに届く
Citron(citronlegacy が公開)は、README で「Anima 拡散モデルの LoRA を学習する、最初のローカル GUI」と名乗るツールです。中身は kohya-ss/sd-scripts をラップした軽量な Gradio Web アプリで、「既定設定なら 6GB 未満の VRAM で学習できる」と記載されています。ライセンスは MIT、2026 年 5 月時点で Anima v1 ベースモデルへの対応を加えた版(v1.0.2)が公開されています。
強みは間口の広さです。Windows 用のバッチと Linux / macOS 用のシェルスクリプトの両方が用意され、対応 OS の表記としては三つの環境をカバーします。加えて、もとになった Colab 版ノートブック(citron-colab-anima-lora-trainer)が存在するため、手元に十分な GPU がなくてもクラウドの GPU で試せる経路があります。ただし Colab 版は学習素材・生成した LoRA・設定を Google Drive 上に置く前提で、公式 README のテストでは、無料枠で T4 GPU が割り当てられた場合に 1000 ステップで 4 時間超かかるとされ、総ステップを 1000 以下に抑えるよう案内されています。ただし Colab 無料枠で割り当てられる GPU の種類・利用上限・セッション時間は変動し、保証されません。Drive への保存と短めのステップ設定を前提にしておくのが安全です。
ただし注意したい点として、ローカルでの学習は CUDA 対応の NVIDIA GPU が前提で、README も CPU 学習は非対応としています。そのため、macOS 用のセットアップスクリプトが用意されていても、Apple Silicon の Mac で実用的な速度の学習を回すのは現実的ではありません。Mac から取り組むなら Colab 版を使うか、別途 NVIDIA GPU を積んだ環境を用意する、という整理が無難です。クロス OS の表記に幅がある分、自分の環境で実際に CUDA が使えるかを先に確認しておくと、無駄足を避けられます。
Anima Standalone Trainer|環境を自分で管理する分離型
Anima Standalone Trainer(gazingstars123 が公開)は、README で「circlestone-labs の Anima モデル向けの、軽量で分離型の学習環境。現状は LoRA 学習に対応」と説明されるツールです。土台は同じく sd-scripts ですが、Node.js を必要とする Web UI を持ち、自分で環境を組み立てて使う分離型である点が他とは毛色が違います。対応 OS は Windows と Linux、ライセンスは Apache-2.0 で、2026 年 4 月時点で v2.2.0 が公開されています。複数 GPU まわりは発展途上で、README 本体は「現状は LoRA 学習に対応」としつつ、v2.2.0 のリリースノートでは複数 GPU 学習向けのテンソル並列やフルファインチューン対応にも触れています。スケールを狙う場合は、自分の環境でどこまで動くかを確かめながら使う段階と捉えておくのが無難です。
「分離型(standalone)」という名前のとおり、ポータブル配布のように一式を抱え込むのではなく、モデルのパスを自分で指定し、依存関係を明示的に入れて使う構成です。そのぶん初期設定の手間はかかりますが、環境を自分で管理したい人や、将来的に複数 GPU まで広げていきたい人には向きます。GPU を 2 枚以上使う運用については、デュアル GPU でのローカル AI 実測記事や ComfyUI のマルチ GPU 運用ガイドで、二枚目の GPU が遊びやすい落とし穴も含めて触れています。
最小 VRAM は README に明記がありませんが、sd-scripts 系である以上、メモリ節約系のオプションを使えば低 VRAM 帯でも動かせる余地はあります。確実な下限を知りたい場合は、まず手元の GPU で試運転して挙動を見るのが現実的です。
neme-anima|動画素材から 3 ステップでキャラ LoRA を作る
neme-anima(negaga53 が公開)は、ここまでの GUI ラッパーとは設計が異なり、diffusion-pipe を学習バックエンドに使う 3 ステップ型のパイプラインです。流れは「動画から参照画像をもとにクロップを抽出する」→「WD14 系の danbooru タグで自動タグ付けする」→「Anima 上でキャラクター LoRA を学習する」の三段で、素材集めから学習までを一気通貫で扱えるのが特徴です。ライセンスは MIT。
VRAM の目安は段階で分かれており、抽出・タグ付けの工程は 4GB から(8GB あれば快適)、学習の工程は 6GB から(フル解像度の LoRA で 18GB)と README に記載されています。注意点は対応 OS で、学習工程は Linux または WSL 2(CUDA 12.4 以降)が前提です。ネイティブ Windows だけで完結させることはできず、macOS の記載もありません。
neme-anima が使う diffusion-pipe は、Anima のモデルカードがファインチューニングの参考として挙げている学習基盤でもあります。つまり、配布元が案内する経路に近い土台の上で、動画素材からキャラクター LoRA を作るところまでをまとめたツール、という位置づけです。アニメ系モデル全般を想定した作りですが、Anima を学習対象として明示的にサポートしている点が、本記事の比較対象として扱う根拠です。動画から特定キャラの LoRA を量産したい用途で、Linux / WSL 2 の環境がすでにあるなら有力な選択肢になります。
コマンドラインで直接学習する|sd-scripts と diffusion-pipe
ここまでの GUI ツールは、いずれも sd-scripts か diffusion-pipe のどちらかをラップしたものでした。裏を返せば、その二つを直接コマンドラインから叩く選択もあります。最大限に制御したい場合や、学習を自動化のパイプラインに組み込みたい場合に向きます。
sd-scripts(kohya-ss)は、前述のとおり 2026 年 2 月のマージで Anima 用の学習スクリプトを取り込みました。VRAM が厳しい環境では、テキストエンコーダ出力やラテントのキャッシュ、勾配チェックポイントといったメモリ節約オプションを有効にすることで消費を抑えられる、と実装側の解説で案内されています。Windows でも Linux でも動く点は、GUI ツールが Windows 中心に広がった背景でもあります。
diffusion-pipe(tdrussell)は TOML 形式の設定ファイルで学習を記述するコマンドラインツールで、Anima のほか Cosmos-Predict2 や SDXL、Flux など幅広いモデルに対応します。ライセンスは GPL-3.0。Anima のモデルカードが LoRA 学習の参考として設定例を挙げているため、配布元の想定に最も素直に沿う経路と言えます。ただし動作はネイティブ Windows では難しく、WSL 2 か Linux が前提になる点は GUI 版と共通の制約です。
OneTrainer は今は待ち|未対応の理由
SDXL や Flux の学習で OneTrainer(Nerogar)を使い慣れている人もいるかもしれません。ただ 2026 年 6 月時点で、OneTrainer は Anima にまだ対応していません。GitHub には Anima 対応を求める Issue(#1278)が出ており、状態はオープンのままです。対応 PR(#1487)は 2026 年 6 月 14 日に preview ブランチへ取り込まれましたが、通常利用する master/リリース版にはまだ入っていません(大きめの依存更新を伴うため、段階的なテスト中の位置づけです)。なお、この Issue で当初の前提とされていた基盤ライブラリ diffusers 側の Anima 対応は、2026 年 5 月 29 日にマージ済みです。
つまり、通常リリース版(master)の OneTrainer の慣れた UI をそのまま Anima に持ち込むことは、現時点ではできません。安定版で SDXL 用の手順を流用しようとすると行き詰まるため、いま確実に Anima を学習したいなら sd-scripts 系か diffusion-pipe 系を選ぶのが無難です。比較表で「未対応(安定版)」としたのはそのためで、preview ブランチでの取り込みが進んでいる以上、近いうちに正式対応へ動く可能性はあります。最新の状況は OneTrainer の Issue #1278・PR #1487・リリースで確認するのが確実です。
VRAM 別・目的別の選び方
候補が出そろったところで、手元の環境と目的から絞り込みます。まず効くのは「対応 OS」と「VRAM クラス」、次に「何をしたいか」です。
対応 OS と VRAM から候補を絞る
Windows のデスクトップで環境構築を少なく始めたいなら、ポータブル配布の TrainFlow が候補です。Windows・Linux に加えてクラウド(Colab 版)でも試したいなら Citron が候補になります(Mac はローカル学習に CUDA が要るため、実質はクラウド経由が現実的)。Linux や WSL 2 の環境がすでにあるなら、diffusion-pipe 系(neme-anima や diffusion-pipe 直)も視野に入ります。環境を自分で管理したい場合や、複数 GPU まで視野に入れたい場合は Standalone Trainer が候補です。
VRAM クラスの目安は、おおむね次のように整理できます。6GB クラスは TrainFlow や Citron で「とりあえず動かす」段階に向く下限ラインで、VRAM が足りないときに起きるエラーと対処は Stable Diffusion・Ollama の実測でまとめた記事が参考になります。16GB クラスになると解像度やバッチサイズに余裕が生まれます。これは公式の一律要件ではなく、各ツールが示すのは 6GB 前後の目安までですが、余裕を持って回したい場合の帯域として、当サイトの検証環境にある RTX 5080 16GB や RTX 5060 Ti 16GB あたりが扱いやすい、という運用上の見方です(本記事で Anima 学習そのものを実測した数値ではありません)。VRAM の必要量そのものの考え方は VRAM とは何かを用途別に解説した記事、16GB GPU の用途別の選び分けは VRAM 16GB GPU を AI 用途別に比較した記事が参考になります。
目的から選ぶ
用途で見ると、選び分けはもう少しはっきりします。Windows で素早く始めたいなら TrainFlow。Windows・Linux で間口広く使いたい、あるいは手元に GPU がなくクラウドで試したいなら Citron(Mac はクラウド経由が現実的)。環境を自分で組み立てて管理したいなら Standalone Trainer。動画素材からキャラクター LoRA を一気通貫で作りたい(かつ Linux / WSL 2 が使える)なら neme-anima。学習を細かく制御したい・自動化に組み込みたいなら sd-scripts 直か diffusion-pipe 直。OneTrainer に慣れている場合は、対応が入るまで待つ、という形です。
学習した LoRA を実際の画像生成で使う段階では、ComfyUI と組み合わせる構成が取りやすく、Anima のモデルカードでも ComfyUI での利用手順が案内されています。ComfyUI 自体の必要スペックや始め方は ComfyUI の基礎知識をまとめた記事で確認できます。学習と推論を別ツールに分担させる構成は、GPU 時間の見通しを立てやすくする意味でも理にかなっています。
ライセンスの注意|学習した LoRA は非商用
選び方とは別に、必ず押さえておきたいのがライセンスです。Anima 2B 本体は、モデルカードで「CircleStone Labs 非商用ライセンス」と明記されており、「モデルおよびその派生物は非商用目的でのみ利用可能」とされています。学習して得られる LoRA はこの派生物に含まれるため、トレーナー本体のコードが MIT や Apache-2.0 であっても、出力された LoRA を商用で使うことはこの条件下ではできません。
非商用の範囲であれば、学習した LoRA を配布すること自体はライセンス(v1.1)で認められています。ただしその際は、ライセンスの写しを添えること、所定の帰属表示(CircleStone Labs のモデルである旨と著作権表示)を入れること、元のモデルを改変した派生物である旨を示すこと、公式製品や公認であるかのように見せないこと、という条件を満たす必要があります。なお、生成された画像そのもの(Outputs)はライセンス上の派生物(Derivative)には当たらず、禁止された用途や第三者の権利を侵害する使い方でない限り、ライセンスは出力物の所有権を主張しません。つまり「モデル本体と LoRA(派生物)は非商用」「生成された画像は別枠で、商用利用も妨げられない」と分けて理解しておくと、判断を誤りにくくなります。
モデルカードでは、商用ライセンスを希望する場合の問い合わせ先が案内されています。ただしライセンス条文上、商用利用を許諾するかどうか、その条件や費用は配布元の裁量に委ねられており、問い合わせれば必ず提供される性質のものではありません。さらにベースが NVIDIA Cosmos 系のため、配布元は NVIDIA 側のモデルライセンスにも言及しています。商用利用を検討している場合は、トレーナーのライセンスではなくモデル本体のライセンスが効くこと、そして条件が更新され得ることを踏まえ、最新のモデルカードで可否を確認するのが確実です。
| モデル本体 | Anima 2B(CircleStone Labs × Comfy Org) |
|---|---|
| ベースモデル | NVIDIA Cosmos-Predict2-2B-Text2Image(Cosmos 系 DiT) |
| モデルのライセンス | CircleStone Labs 非商用ライセンス v1.1(派生物 = LoRA も非商用、配布は帰属表示等が条件) |
| 商用利用(モデル・LoRA) | 配布元への問い合わせが必要(生成画像は別扱い) |
| 学習データの知識カットオフ | 2025 年 9 月(モデルカード記載) |
よくある質問
結局どのトレーナーから試すのがよいですか。
Windows のデスクトップで、まず動かしてみたいなら Anima TrainFlow が始めやすい構成です。ポータブル配布で環境構築の手間が少なく、公称 6GB VRAM から動きます。手元に NVIDIA GPU がない、または macOS から試したい場合は、Colab 版のある Citron が候補になります。
Mac でも Anima の LoRA を学習できますか。
Citron は macOS 向けのセットアップスクリプトを用意していますが、ローカルでの学習は CUDA 対応の NVIDIA GPU が前提です。Apple Silicon の Mac で実用的な速度を出すのは難しいため、現実的には Citron の Colab 版を使うか、NVIDIA GPU を積んだ環境を別に用意することになります。
OneTrainer はいつ Anima に対応しますか。
2026 年 6 月時点で、通常リリース版(master)は未対応です。基盤ライブラリ diffusers 側の Anima 対応は 2026 年 5 月にマージ済みで、OneTrainer でも対応 PR(#1487)が 6 月 14 日に preview ブランチへ取り込まれましたが、安定版への反映は確認できていません。安定して使いたいなら、現状は sd-scripts 系か diffusion-pipe 系を選びます。
学習した LoRA は配布・販売できますか。
Anima 2B は非商用ライセンスで、その派生物である LoRA も同じ扱いです。非商用なら配布できますが、ライセンスの写しの添付、帰属表示、改変物である旨の明示、公認と誤認させない表示が条件になります。販売などの商用利用は範囲外で、その場合は配布元(CircleStone Labs)への商用ライセンスの問い合わせが前提です。なお、生成した画像(出力)は派生物には当たらず、禁止用途でなければ商用利用も妨げられません。非商用に縛られるのはモデル本体と LoRA の重みのほうです。
まとめ|土台と OS で候補は絞れる
Anima 2B の LoRA トレーナーが何種類もあるのは、学習の土台が「sd-scripts 系」と「diffusion-pipe 系」の二つに分かれ、その上に対応 OS や操作方法の違う GUI が育ったためです。まず手元の GPU の VRAM クラスと対応 OS で候補が絞れ、次に「素早く始めたい」「複数 GPU で回したい」「動画から作りたい」「細かく制御したい」といった目的で一つに寄せられます。
Windows で環境構築を少なく始めるなら TrainFlow、Windows・Linux やクラウドまで含めて間口広く使うなら Citron、環境を自分で管理する分離型がよければ Standalone Trainer、動画素材からキャラ LoRA を一気通貫で作るなら(Linux / WSL 2 が前提で)neme-anima、最大限の制御なら sd-scripts 直か diffusion-pipe 直、という整理になります。そして共通の前提として、学習した LoRA は非商用ライセンスの範囲で扱う点を忘れないようにしておくと、後から困りません。まずはご自身の GPU がどの VRAM クラスに当たるか、OS が何かを確認するところから始めるのが、迷わない入口です。
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- ComfyUIとは?必要スペックからAI画像生成の始め方まで初心者向けに解説
参考資料
- circlestone-labs/Anima – Hugging Face モデルカード(ライセンス・ベースモデル・学習指針)
- ThetaCursed/Anima-TrainFlow – GitHub リポジトリ
- citronlegacy/citron-anima-lora-trainer-ui – GitHub リポジトリ
- gazingstars123/Anima-Standalone-Trainer – GitHub リポジトリ
- negaga53/neme-anima – GitHub リポジトリ
- tdrussell/diffusion-pipe – GitHub リポジトリ(Anima 対応の学習基盤)
- CircleStone Labs Non-Commercial License v1.1 – Anima のライセンス全文

